日本サッカー協会、代表「瀬古歩夢」のコロナ感染を“隠蔽”か 氏名、検査結果を公表せず

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 4月16日、日本サッカー協会(JFA)は「日本代表戦開催後の感染対策における誓約違反事案について」という文書を発表した。

 3月下旬、日本代表およびU-24代表(五輪代表)は国内で計4試合を行った。文書によると、これらは、

〈JFAがスポーツ庁や関連省庁と議論を重ねた結果、JFAの責任下において厳格な防疫措置を講じることを条件に、日本政府に対戦国などの入国許可をいただき実施することができました〉

 具体的には、選手たちには代表活動中のみならず、活動終了後3日目、14日目、Jリーグ試合前においても検査を求めていたという。

 ところが、こう続く。

〈検査(代表活動後3日目)が実施されず、Jリーグに出場していた事案が判明しました〉

 ただし、当該クラブ名や選手名は明かさず、その選手の検査結果も明らかにしていない。

 遡ること11日前の4月5日、セレッソ大阪は選手1人がコロナ陽性診断を受けたと発表していた。こちらも選手名は非公表だったが、翌日の試合で大久保嘉人ら4選手がベンチから外れた。

 コロナに関する二つの事案、一見すると何の関係もないように思えるが、

「実は両方とも同じ事案に関するものなんです」

 と、サッカーライターが明かす。

「JFAが定めた“3日目検査”を怠ったのも、セレッソで陽性診断されたのも同一人物。DFの瀬古歩夢(20)です」

 3月にセレッソから代表戦に出場したのは彼しかいないので、匿名で報じる意味がない。JFAやセレッソに先駆けて選手名を公表するのは心苦しいが、ご容赦いただきたい。

 瀬古は、3月29日に北九州で行われた対アルゼンチン第2戦に先発している。スコアは3―0で日本が快勝。DFとしてフル出場した瀬古は、強豪アルゼンチン攻撃陣を完封しただけでなく、攻撃面においてもFW林大地に芸術的なロングボールを送り、先制点をアシストする活躍を見せた。

 Jリーグでは昨年、ベストヤングプレーヤー賞を受賞。弱冠20歳にしてU-24代表に招集されていることからもわかるように、期待の若手である。

飲みに繰り出した?

“瀬古が検査を怠った”“瀬古がコロナに罹患した”、これらは単独では大した問題ではないかもしれない。

 だが、この二つの事案が同一人物であることが判明した結果、“隠蔽”された、看過できない事実が現出することになる。それは、

「外国人の入国を制限しているなか、“厳格な防疫措置”を条件に特別に実施が許可された国際試合において、コロナ感染者が発生した、という事実です」(同)

 3月23日、JFAは日本代表コーチがコロナ陽性になったことを実名で公表している(後に偽陽性と判明)。このときは実名を公表したのに今回はなぜ実名、いやコロナ陽性者が出た事実すら公表しないのか。

 JFAに尋ねると、

「代表活動期間中は、いわゆるバブル方式を採用しており、外部との接触は禁止、選手たちはホテルと練習場と試合会場以外には足を踏み入れていません。ゆえに当該選手が期間中に感染したとは考えられず、協会として公表する立場にないと考えています」

 北九州への移動はチャーター機を用い、ホテルでは国内組と海外組でフロアを分けるなど、過剰と言えるほど隔離は徹底されていた。また、活動期間中はもちろん解散後も“当該選手”は2日後、4日後に検査を受け陰性だった。

 しかし、厚労省によると、感染から発症までの潜伏期間は1日から12・5日で、多くは5日から6日。“当該選手”は4月3日に受けた検査で陽性となった。代表が解散したのはその4日前の3月30日である。確率的には代表期間中に感染した可能性が高い。しかも、先のライターによると、

「瀬古は試合後、単独で飲みに繰り出していたという話もあります」

 なお、セレッソにも取材を申し込んだが、“答えられない”の一点張りだった。

「代表戦は、大袈裟に言えば、国民を危険に晒して特別に許可されたわけで、そこでの失態を公表しないのは“隠蔽”と言われても仕方ない。国際大会での感染は、東京五輪開催にとっても大きなダメージになるので、公表したくなかったのかもしれませんが」(同)

 情報を公開しないことによる不信感――これこそコロナより怖い伝染病だと思うのだが。

週刊新潮 2021年4月29日号掲載

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