中日「福谷」、ロッテ「ハーマン」は超高学歴…“文武両道”を極めたプロ野球選手たち
優勝候補を相手に善戦
4月10日に開幕した東京六大学野球の春季リーグ戦。開幕戦では東京大が前年秋優勝の早稲田大を相手に0対6から1点差まで追い上げる接戦を繰り広げると、翌日の第2戦では投手陣が無失点でしのぎ、0対0で引き分け。今シーズンは延長戦なしのポイント制で行われているが、優勝候補を相手に0.5ポイントを奪い取って見せた。
ちなみに、早稲田大のメンバーはエースの徳山壮磨、4番でキャッチャーの岩本久重(ともに大阪桐蔭)などを筆頭に高校時代からプロも注目するような選手を揃えており、そんなチームを相手に互角の試合を展開したことは見事という他ない。京都大が一昨年、関西学生野球の秋季リーグ戦で5勝をあげて、初の4位という成績を残したが、東京大もそれに続く躍進を感じさせる戦いぶりだった。
プロ野球の世界では、田中英祐が京都大から2014年にドラフト2位でロッテに入団(2017年限りで引退)。また東京大からも宮台康平が2017年のドラフト7位で日本ハムに指名され、昨年オフに自由契約となったものの、12球団合同トライアウトで好投して、ヤクルトとの支配下登録を勝ち取っている。
しかし、彼らほどではないものの、実は高学歴なうえに、プロ野球でも活躍している選手は少なくない。今回はそんな文武両道の選手をピックアップしてみた。
卒業論文は「御成敗式目」
現役で活躍している選手でまず名前が挙がるのが福谷浩司(中日)だ。出身の愛知県立横須賀高校は、学校情報ポータルサイト「みんなの高校情報」によるとその偏差値は63で、県内の高校の中でも上位10%に入っている。
福谷は高校時代から愛知では評判の本格派だったが、そんな進学校の中で学業も優秀。AO入試で慶応大学の理工学部へ進学した。大学4年時にインタビュー取材をした時に、卒業論文のテーマについて聞いたところ、画像処理に関する研究とのことで、そのことを自分のピッチングのレベルアップにも繋げたいと語っていた。
12年のドラフト1位で地元中日に入団すると、2年目にはセットアッパーとしてリーグトップの72試合に登板。その後は故障もあって成績を落としていたものの、昨年は先発として8勝をマークするなど見事な復活を果たした。さらに今シーズンは初の開幕投手も任されている。昨年オフの契約更改では、球団のビジョンに対して質問して話題となったが、そのような発言が出てくるのも、普段からあらゆる知識を吸収しているからだろう。
同じドラフト1位の選手では桜井俊貴(巨人)も負けてはいないだろう。桜井の出身は兵庫県立北須磨高校。「みんなの高校情報」によると偏差値は64で、福谷の横須賀高校をわずかに上回っている。
高校時代は福谷ほどの知名度はなかったが、公立校の好投手として評判となっていた。立命館大では法学部で学び、卒業論文は鎌倉時代の法令「御成敗式目」がテーマだったという。野球でも積極的に体力強化に取り組み、4年秋に出場した明治神宮大会では大会タイ記録となる1試合18奪三振もマークしている。プロ入り後は苦しんだものの、4年目の19年には8勝をマークして台頭した。
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