井岡一翔「マリファナ陽性」で王座剥奪の可能性も 井岡側は「検体に成分が混入された」と説明

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 アマ時代からボクシング界の期待を背負い、一昨年には日本人初の4階級制覇を達成。一方で、電撃引退からの復帰劇や、歌手・谷村奈南とのスピード離婚で世間を騒がせてきた井岡一翔(32)。そんな世界王者に浮上したのは“ドーピング疑惑”という新たな騒動だった。

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 リングの内外で注目を集めてきた日本人初の4階級制覇王者・井岡一翔に、看過できない“疑惑”が浮上している。

 事の発端は、「史上最高の日本人対決」が行われた昨年12月31日にまで遡る。

 この世界タイトルマッチで井岡と対峙したのは“中京の怪物”こと、田中恒成(25)だった。田中は、井岡や井上尚弥(28)の記録を塗り替え、プロ5戦目で世界王座獲得を果たした最強の挑戦者。井岡戦には世界最速での4階級制覇がかかっていた。

 だが、試合は井岡が8ラウンドTKO勝利を収め、王座防衛に成功。挑戦者が「完敗です。こんなに差があったのか……」と舌を巻くほどの圧勝だった。対戦後、井岡の左腕に彫られたタトゥーが物議を醸し、日本ボクシングコミッション(JBC)が厳重注意処分を発表したのも記憶に新しいところだろう。

 実はいま、この一戦を巡って新たな“騒動”が巻き起こっているのだ。

 JBC関係者が明かす。

「昨年大晦日のタイトルマッチではJBCによるドーピング検査が実施されました。具体的には、会場となった大田区総合体育館の一画に設けられた医務室で、試合開始の2時間ほど前に両選手の尿を採取。JBCと提携するコミッションドクターの所属病院に検体を送り、簡易検査にかけている。JBCでは世界戦においてのみドーピング検査が行われるのが実情です。JBCによる検査は1990年代以降、20年近く続いていますが、その間に“陽性反応”が出たことは一度もありませんでした」

 ところが、試合から1週間後の今年1月上旬、JBCに激震が走る。

 挑戦者の田中は問題なかったが、一方の井岡の尿検体の検査結果に、〈THC(Marijuana)Positive〉との記述があったのだ。

「井岡の尿からマリファナ、つまりは大麻成分の陽性反応が出たということです。正直なところ、寝耳に水でしたよ……。これまでドーピング検査で陽性反応が出たことがなかったため、JBCの誰もが“出るはずがない”という性善説に立っていた。今回も形式的な検査という認識だったのですが、全く予期しない結果がもたらされてしまった」(同)

 動転したJBCは、より専門性の高い検査機関に再鑑定を依頼する。

 しかし、1月29日に判明した新たな検査結果によって、JBCはさらに深刻な問題を突きつけられることになる。

「報告書によれば、井岡の尿検体からは“エフェドリン”、“フェネチルアミン”、“チラミン”という三つの成分が検出された。また、下限値を下回るものの、微量のマリファナも検出されたそうです」(同)

 元埼玉県警「科学捜査研究所」乱用薬物科長の雨宮正欣・法科学研究センター所長によれば、

「エフェドリンの含有量が10%を超える薬品は覚醒剤の原料に指定され、覚醒剤取締法の規制を受けます。食欲を抑制する作用があるため、“エフェドラ”という名称でやせ薬として乱用されたこともありました。一般的な風邪薬や医薬品にも使用されるのですが、興奮作用を伴います。フェネチルアミンはそれ自体が違法薬物ではありませんが、興奮作用があり、LSDやモルヒネに似たような構造をとっている。チラミンはココアやワインにも含まれ、交感神経を興奮させる作用があります」

 無論、こうした成分が検出されたからといって、直ちに井岡が違法薬物に手を出していたと言うことはできない。とはいえ、

「問題は、検出された成分がいずれも世界ドーピング防止機構(WADA)の定める禁止物質に含まれていることです」(先の関係者) 

王座剥奪の可能性も

 ドーピング検査の世界的な基準となっているWADAの「禁止表」を確認したところ、競技会時の禁止物質のなかに〈エフェドリン(尿中濃度10ug/mlを超える場合)〉、〈フェネチルアミン〉、そして、チラミンを含む〈フェネチルアミンの誘導体〉と明記されている。同時に、〈大麻由来物質(ハシシュおよびマリファナ)および大麻製品〉も禁止物質のリストに名を連ねる。

 日本人ボクサーのドーピング違反については過去にこんな例があった。

 ボクシング界に詳しいジャーナリストが言う。

「2017年12月に、米・ラスベガスで世界戦に勝利した尾川堅一のケースです。試合後、ネバダ州のアスレチック・コミッションによるドーピング検査の結果が判明し、尾川の尿から筋肉増強効果があるテストステロンが検出されました」

 この時、尿検査を手がけたのはWADAだった。

「アスレチック・コミッションは尾川に6カ月間の資格停止処分を言い渡し、試合が無効となったことでタイトルも剥奪されました。日本人選手が世界戦でドーピング違反と判断されたのは史上初の出来事です。事態を重く見たJBCは、尾川に対してプロボクサーライセンスの1年間停止という、より厳しい処分を下しています」(同)

 別のJBC幹部が言葉を継ぐには、

「現在、日本のプロボクシングでは、ウエイトオーバー(体重超過)でも1年間の資格停止となります。ドーピング違反と認定されれば尾川と同等か、それ以上の処分が下されることも考えられる。ただ、JBCには、ドーピング検査に違反した選手の処分について明文化された規定が存在しない。そのため、手続きとしては、まず内規に基づいて倫理委員会を開催し、事案の悪質性や重大性、経緯や背景を検証した上で処分を決定することになります。今回のケースでも、倫理委員会でドーピング違反が認定され、井岡側が聞き取りに対して合理的な理由を説明できないと、最悪の場合、ライセンスの無期限停止といった処分が下される可能性は残る。認定機関である世界ボクシング機構(WBO)が王座剥奪を判断する可能性もあります」

 人気・実力共に折り紙つきの世界チャンピオンゆえ、今後の動向が注視されるのは当然だろう。

 その一方で、試合からおよそ4カ月が経過していながら、JBCがいまだ何の発表もしていないことにも疑問は残る。

 実際、先の関係者はこの間のJBC側の動きに首を傾げるのだ。

「本来であれば、ドーピング違反の疑いが生じた時点で、JBCは倫理委員会を開き、規定に則って井岡側に告知し、聴聞の機会を与える必要があります。しかし、JBCの永田有平理事長は、この緊急事態について真剣に取り合おうとしなかった。ようやく倫理委員会が開催されたのは3月1日のこと。その場で井岡側への聴聞を含めた調査の方向性が確認されました。しかし、永田理事長は“警察に報告する手もある。警察がシロと言えば、井岡はシロなんだから”と発言し、他の委員たちと口論になったのです」

 倫理委員会では、警察にゲタを預ける前に、規定に沿って調査を進めるべきだとの結論が出ていた。にもかかわらず、その数日後、永田氏らが警視庁富坂署に相談を持ちかけたという。

 その結果、

「警視庁は、検査機関で冷凍保存されていた井岡の残りの尿検体を押収しました。そして、4月に入って井岡本人が警視庁から事情を聴かれる事態になった。しかし、警察に押収されたことで、試合当日の尿検体は無くなってしまった。今後、倫理委員会で井岡側の言い分を聞き取る際に、再々検査の必要性が生じる可能性もありますが、それを行うことが現実的にできなくなってしまったわけです。こんな情けない状態でJBCがきちんとした裁定を下せるのか、大いに疑問が残ります」(同)

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