東大卒の声優「鈴木柚里絵」はなぜ“忍者”になったのか 政府公認のコスプレパフォーマーにも
「4~5年ほど前、とあるテレビ番組に出演した時に“将来の夢は?”と聞かれたんです。とっさに思いつくまま“忍者です”と答えたのがきっかけですね」
とは“東大卒忍者”なる妙な肩書きで活躍する、声優兼タレントの鈴木柚里絵。医師の父と大学教授の母を持ち、都内の高校から東大教養学部に進学。学生時代は“東大ブーム”に押されて数々のテレビ番組に出演したが、ある日の意図せぬ一言がその後の進路を決定づけたとは。
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「すぐに複数の忍者文化の普及に携わる団体から“忍者になりませんか?”とお誘いを頂きまして。一念発起して座学や実技を学び、“本物”を目指したんです」
その後は伊賀忍者発祥の地・三重県を訪問し、江戸時代の忍術書『正忍記』や『万川集海』を読み込んだ。現在も師匠に師事して修行中の身という。
「現代の忍者は昔と異なり、日陰の存在ではありません。言うなれば日本のさまざまな情報を海外に発信し、時には海外まで足を運んで理解や友好を深める親善大使。私はコスプレイヤーでもあるので、とくに国外のイベントではコミックやアニメの人気キャラにも扮してアピールに努めています」
時を経て、人目を忍んだ忍者の任務は衆目を集める広告塔に様変わり。2017年には外務省が「クールジャパン」政策の一環で開催したイタリアでのイベントに、政府公認のコスプレパフォーマーとして派遣されている。
「コスプレは“オタク文化”とも言われますが、その源流は江戸期に花開いた歌舞伎という説もあるんです。新しい文化は突然、ゼロから生まれるものではなく、必ず過去の何かをベースにしている。それを千年から数百年も繰り返してきた日本文化を説明する役には、海外でも知名度と人気が高い忍者が適任なんですよ」
英仏中伊の4カ国語に通じた国際派。ところが今年はコロナ禍により、忍者稼業は開店休業中だ。
「それは大学院の研究も同じで……。脳卒中などで身体が不自由になった方のリハビリを念頭に置いて脳と筋肉を結ぶ神経作用を調べているんですが、これには臨床実験が不可欠。にもかかわらず、コロナの影響で被験者がまったくといっていいほど集まらない」
こちらは“休学状態”だそうで、逆に手応えを感じているのが、YouTubeチャンネルを通じた読書会。
「16日に〈第一回マルクス『資本論』読書会〉を開いて、多くの方と意見交換しました。『資本論』は19世紀に現代社会の構造を的確に見抜き、いまも人々に影響を与えている。そこが最大の魅力ですね」
世界的にも難解な書として知られる一冊だが、
「邦訳だけでなく、フランス語訳とドイツ語版も読みました。先日もネットを介して、東大の学生と文法や細かい文章表現について楽しく議論したところです」
常人の理解をはるかに超える頭脳の持ち主。ちなみに睡眠時間は「しっかり7時間」とのこと。今後の目標を尋ねると、
「テコンドーと躰道という武道で黒帯を持っているんです。今年はアクション俳優として、戦隊モノの悪役をやってみたいな」