パトリック・ハーランが日本で見つけた飲食店 美味しいNIPPON
好きな飲食店や好物の話を聞けば、その人の人となりが解るというもの。ゆえに「名は体を表す」ならぬ、「食は体を表す」なのである 。この企画では、外国籍の著名人の方々にご登場頂き、行きつけのお店をご紹介してもらいます! 意外なお店のチョイスに驚くこと必至! 彼らの食に対する感性と経験が垣間見えちゃうんです。最終回は、パトリック・ハーランさん。今回は「パインフィールド」に伺いました!!
ハーバード大学で“比較宗教学”を学んだ超インテリのパックンには、酒との付き合い方にも深い含蓄がある。曰く、
「思い出にならない飲みは意味が無いんじゃない?」
家飲みをやめて飲み屋街へ繰り出すようになったのが2年前のこと。住まいのある四谷エリアには、吞兵衛に名高い“荒木町”もある。
「一晩に何軒もハシゴして、荒木町を制覇しようとしたんですよ。でも、この店に出会ってプロジェクトは終わってしまいました」
パックンをして“ここが最高だ”と思わしめたのが、カントリーバー「パインフィールド」。
カントリーミュージシャンでもあるマスターが切り盛りする、創業48年の老舗だ。
「生まれ育ったコロラドスプリングスでは、好き嫌いに関係なくカントリーミュージックが浸透しているんです。母の車“マツダ・ファミリア”で聴けるのは四つのラジオ局だけ。そのうちの一つがカントリー専門でした」
アメリカンな扉を開けると、こぢんまりした店内に流れるスティールギターの音色がいい感じ。これはもう、かたいことは抜きにして乾杯するしかありません。パックン、おすすめの酒はなんでしょう?
「ぼくはいつも〈バッファロートレース〉のロック。この店には世界で唯一ぼくがキープしてるボトルがあるんですよ!」
バーボンを体内に流し込むと、音楽もさらに魅力的に聴こえてくるから不思議。そこへパックンがマスターに弾き語りをリクエスト。カントリーの定番「ジャンバラヤ」に「テネシー・ワルツ」と、怒濤のメドレーに、パックンはバスのコーラスをつけて即興のセッションです。
「幼稚園のときに聖歌隊に入って以降、日本に来て仕事を始めるまでずっと歌をうたってきたんです。大学ではグリークラブの部長で、日本に初めて来たのもその卒業ツアーだったんですよ」
グリークラブでは“グレゴリオ聖歌”をうたっていたというから本格派。いやはや、おみそれしました。
とまれ、いい音楽にはいい酒がよく似合う。夜が待ち遠しくなるようなバーの醍醐味ここにあり、です。