サイゼリヤに挑む低価格イタリアン「オリーブの丘」 前菜が充実で互角の戦いも──
前菜が充実
オリーブの丘の公式サイトには前菜として23品、サイゼリヤも同じ23品が掲載されている。
とはいえ、サイゼリヤの場合は季節限定の「冷たいアスパラガスのスープ」や、「エビクリームグラタン」も含まれている。厳密な意味での「酒の肴」ではないメニューも散見される。
「オリーブの丘は、いわしのマリネ、チキンやエビのアヒージョ、金目鯛のアクアパッツァなど、いわゆる都心の『バル』で人気があるような小皿料理が充実しています。私はジョッキのビール、デカンタのワイン、前菜を3品頼んで、約3500円でした。都内の『バル』なら5000円はするでしょう」(同・千葉氏)
都心に勤務するサラリーマンで、仕事が終わるとオフィス近くの「バル」でワインを呑んで帰宅するという人もいるだろう。
休日になると、彼は自宅近くのオリーブの丘で、小皿料理とアルコールを楽しむ──こんなイメージになるだろうか。
ちなみにオリーブの丘は、パスタやハンバーグ、チキンといった料理に「プラス300円でピザ食べ放題」というサービスを実施していたことがある。
日本人の舌に合う味
ネット上で「サイゼリヤを超えるコストパフォーマンス」と書かれた数年前の記事などが表示されるのは、その頃の名残だろう。現在の公式サイトに、この食べ放題サービスは紹介されていないようだ。
ここで改めてパスタの全メニューを比較してみよう。サイゼリヤは300円から600円という価格帯に12品が提供されている。
オリーブの丘は429円から594円という価格帯で29品だ。サイゼリヤが僅かに安いが、オリーブの丘はバリエーションが豊富だ。
やはり甲乙付けがたい。互角の品揃えと言っていいだろう。それにしても、日本人がどれだけイタリア料理が好きか、改めて思い知らされる。
作家の村上龍氏は2010年に上梓した『逃げる中高年、欲望のない若者たち』(ベストセラーズ)で初めてサイゼリヤを訪れた時のことに触れ、イタリア現地で食べる生ハムやチーズ、ワインと全く遜色がなかったと驚いている。
「フランス料理と異なり、イタリア料理は食材の持つ味を素直に料理すると言われています。和食も素材が持つ魅力を最大限に活かそうとします。こうした共通点から、イタリア料理と日本人の相性が良いのは間違いないでしょう」(同・千葉氏)
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