今では「反原発」ばかり口にする、小泉純一郎が「旋風」を巻き起こしていた頃

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ポピュリズム政治の権化

 そこへライオンヘアをなびかせて登場したのが小泉氏であった。総裁選では橋本龍太郎氏有利と見られていたが、

「自民党をぶっ壊す」

「私の方針に反対する勢力はすべて抵抗勢力」

 そう熱弁を振るった結果、街頭演説には観衆が押し寄せた。田中真紀子氏の応援演説もあって“小泉旋風”は吹きやまず、第87代内閣総理大臣への就任と相成った。まさか、と言っては失礼だが、この笑顔で脚を鍛えていた人物が総理の座に就くと予想した人はそう多くなかったはずである。まして5年半に及ぶ長期政権を敷くなんて。

「小泉さんは時代の空気が作り出したリーダーでした。潔くて率直な物言い、抵抗勢力を作り上げる劇場型と呼ばれた手法、節制した生活を送るケンカに強いキャラクターが、閉塞感に喘いでいた国民に受け入れられたことで長期政権を実現したのです」(篠原氏)

 が、その成果を検証すれば、新自由主義的な経済政策を推し進め、貧富の差が拡大したという批判は多い。

「要するに、小泉さんの政治とは政策ではなく、リーダーの在り方を示すものだったのです。多くの国民は、郵政民営化も、中身はよくわからないけれど、それを成し遂げようとする小泉さんの決意と覚悟に惚れたのです」(同)

「構造改革」などワンフレーズ・ポリティクスで国民を煽動した小泉氏は、ポピュリズム政治の権化とも言えた。

 それにしても、郵政民営化って何だったんだろうね。いまさらだけど。

2021年4月26日掲載

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