170センチ未満の剛速球投手「山口高志」 プロ入りを拒否し、一度社会人になった理由とは(小林信也)
好投手の見極め方
剛球と豪快なフォームの源泉は「腹背筋の強さ」だと山口が振り返る。
「高校の監督に『腹背筋やって死んだヤツはおらん』言われてね」
冬場になると、電車で約20分の海岸に行って砂浜を走り、砂の上で「V字腹筋」を延々と繰り返した。
山口の投球フォームを見返すと、豪快なアーム式の右腕以上に、右腕が後方から前に振り出される瞬間の「腰の抜け」、一瞬で上体が前方に切り替わる鋭さに驚嘆させられる。肩への負担は感じられない。理に適った投げ方ではないか。
指導者として、投手の可能性を見る時、どこに注目しますか? 訊くと山口はすぐに教えてくれた。
「腕が長く見えるか、腕を長く使えるか、だね」
それはまさに、山口高志の投法そのものだ。
阪神の投手コーチ時代、藤川球児を指導したことでも知られる。
「球児と僕、ひとつ共通点がある。ストレートの握りね。誰に聞いても人差し指と中指の間を少し開けるんだけど、球児と僕は2本の指をピッタリくっつける」
それが、勢いよくホップし伸び上がる快速球の秘密なのだろうか。
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