“事件屋”一味にしゃぶり尽くされた大阪の名刹「正圓寺」 「20億円」で寺の土地を勝手に売りに出され刑事告訴

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事件屋のスポンサー

 大阪市阿倍野区にある真言宗「正圓寺(しょうえんじ)」が、“事件屋”に乗っ取られて解体危機に瀕していることは「週刊新潮」2021年4月8日号「MONEY」欄で報じた。その上さらに、寺の土地が勝手に20億円で売りに出され、刑事事件に発展しかねない事態となっているのだ。

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 すべてのきっかけは、寺の敷地内に特養老人ホームを建てようとしたことと、辻見覚彦住職が架空の「残高証明書」を大阪市に提出したことにある。金融機関から工事の“つなぎ資金”の融資を断られ、「残高証明の不正を嗅ぎつけた不動産ブローカーからは“アンタ、そりゃ犯罪やないか!?”と脅され続けました」(辻見住職)

 当然、工事を請け負ったゼネコン「今西組」への建設費12億円の未払いは累積する。今西組からは請負代金請求訴訟を起こされ、老人ホーム予定地は差し押さえをかけられてしまう。

 住職は不動産ブローカーから“わしの師匠”という“事件屋”を紹介されたが、不動産ブローカーや“事件屋”は、今西組対策を名目にやりたい放題。寺の土地を名義変更し、2億円や4億円といった巨額の借金の担保に差し入れていた。

 騙されたと気づいた住職の前に、“事件屋のスポンサー”なる人物が登場する。泉佐野市長やボクシングの亀田兄弟の後援会長で、大関朝乃山のタニマチでもあるという。それを信じ込んだ住職は、スポンサーに寺の再建への協力を要請した。

寺の土地まるごと20億円で

 スポンサーからは「今西組の請求をかわすには寺の財産をゼロに見せかけるしかない」と言われ、寺の土地の大部分をスポンサーの名義に変える。実際、スポンサーは2億5000万円を支払い、今西組との問題を解決したそうだ。

「ところが、昨年12月に発覚したのは、寺の土地をまるごと20億円で売りに出していた事実でした。スポンサーの企てに気づき、契約を取り消すことができました。しかし、それ以降も買い手から依頼されたと見られる測量士が、度々寺に現れている。このままでは、寺の解体は時間の問題です。それを阻止できないかと、今年2月末、大阪府警阿倍野署に事件屋とスポンサーらを詐欺容疑で刑事告訴し、受理されたのです」(辻見住職)

 ナニワの名刹の命運は、警察の捜査次第ということになる。

週刊新潮」2021年4月15日号「MONEY」欄の有料版では、辻見住職が追い詰められ刑事告訴に至るまでを詳報する。

2021年4月15日号掲載

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