「文在寅政権は独裁国家」の声 政権を牛耳る運動家出身者の正体

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若い頃に民主化運動を行っていれば

 韓国社会で反日を扇動し、親・北朝鮮スタンスを堅持してきた社会運動家らは、文在寅(ムン・ジェイン)政権下で最高権力者集団に位置づけられるようになった。1980年代、独裁軍事政権に対抗し、民主化闘争を行った運動家出身者らが各界に侵食。社会運動で得た組織化ノウハウと互いの利権を守る連帯能力を発揮して、司法、立法、行政を掌握した格好だ。公正を旨としていたはずの文大統領が身内や側近を重用するシーンばかりが際立ち、「独裁国家と化している」と口にする国民も出始めている。

 少し前に、与党・共に民主党の議員73人が、別名「運動権貴族世襲特恵法」と呼ばれる「民主有功者礼遇に関する法律案」を発議した。

 実は昨年10月、同様のものを同党議員2人が発議したが、世論の反対で撤回。その法案の成立を再度狙ったわけだ。

 同法は、民主化に功績のあった配偶者と子女の教育・就業・医療・住宅などを支援する内容だ。

 支援対象は民主化運動で死亡した者・負傷者に加え、運動の結果、有罪判決を受けた者からその家族まで。彼らを税金で支援することが基本となっている。

 さらに、李承晩(イ・スンマン)政権に抵抗して勃発した「4・19革命(1960)」と全斗煥(チョン・ドゥファン)軍事政権下で勃発した「5・18民主化運動」の関係者、また1980年代の学生運動の運動家らを対象に加えたことで、否定的な意見が目立つようになった。

 煎じ詰めれば、若い頃に民主化運動を行っていれば、本人のみならず家族も恩恵に与ることができることになる。それはさすがに国民をバカにした法案ではないかと異議申し立ての声が上がったのだ。

住居難民になってしまった

 結果的には、7日のソウル・釜山の市長選挙や、その他の再・補欠選で与党が惨敗するなど、世論の反発が激しいとみた共に民主党が法律を撤回して一旦落ち着くことになった。

 学生運動出身者が多い共に民主党員の専横と暴政に、韓国国民がNOを突きつけた格好だ。

 昨年あたりまで、国民からの共に民主党に対する支持はまさに圧倒的だった。

 共に民主党は2017年5月の大統領選挙と文在寅政権発足後の3回の選挙で圧勝。2018年6月の地方選挙で全17市・道のうち14市で勝利している。

 2020年4月の総選挙は、国会300議席のうち地方区の163議席に加えて、比例代表も17議席を獲得し、過半数を大きく上回る180席を確保していた。

 それから1年も経たないうちの惨敗には隔世の感がある。

 目立つのは若年層の離心だ。文在寅政権を支持してきた20~30代の50%以上が今回の選挙で、野党・国民の力に票を投じている。

 住宅価格の高騰で悩んでいる30代の男性は「不動産法が頻繁に変わり、税金も多く納めなければならず、住宅価格も異常に上昇して引っ越しが難しくなった。政府が融資も封鎖しているため借金もできない。事実上、住居難民になってしまった」と打ち明けた。

 もちろん不公正に対する不満も強い。20代の女性は「機会の平等、過程の公正、結果の正義という就任のあいさつを信じたのに、文在寅政権で自由を奪われた気持ちになった。完全な独裁国家に支配されている気分だ」と話している。

 これまで行政権、立法権、司法権を掌握してきた文政権の中心は「586」左派勢力と呼ばれる世代だ。50歳代で、学生運動が盛んだった80年代に大学生だった60年代生まれを意味する。

 韓国の社会運動勢力は、北朝鮮の金日成(キム・イルソン)に心酔して主体思想を学んだNL(National Liberation)系と既得権勢力を打倒する階級葛藤論(階級闘争論)に基づく民衆民主主義(People's Democracy)のPD系に二分される。

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