巨人は20日から阪神3連戦、難敵「西勇輝」の攻略法は?【柴田勲のセブンアイズ】

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 巨人が中日、DeNAとの6連戦を5勝1分けで乗り切った。打てない中日、不振の底にいるDeNAが相手だったとはいえ、よく頑張った。

 惜しむらくは18日、2点のリードを守り切れずに今季4度目の引き分け、7連勝を逃したことだ。いまのDeNAなら3タテしておきたかった。いずれチームの状態は上向いてくる。実際、タイラー・オースティン、ネフタリ・ソトが打線に入って、これまでとは変わってきた。このまま終わらない。

 負けているのを追いかけて引き分けに持ち込んだのと勝っているのに追いつかれたのでは違う。負けに等しい。7回、ソトに一発を許して先発の今村信貴をスパっと替えた。中継ぎ陣を投入して勝ちパターンに持っていこうとしたが、好投していただけにあそこでの交代はどうだったか。まあ、原辰徳監督の判断である。

 だが8回に登板した中川皓太が2死三塁とし、岡本和真がオースティンのゴロを弾いて同点内野安打となった。岡本和は正面に入ろうとした。逆シングルでもいけたと思うが、普段から打球は正面に入って捕れと教育されている。若い選手に対しては特にそうだ。本能的に動いたのだろう。いい、悪いの問題ではなく大事にいった結果だった。

 7連勝を逃したのは残念だったが、20日からはその7連勝をしている首位の阪神を本拠地・東京ドームに迎える。19日現在、3ゲーム差だ。阪神3連戦が終わると次は広島3連戦だ。問題はこの6連戦である。

 巨人対阪神の3連戦はどちらかの2勝1敗と予想する。3連勝、3連敗はないだろう。巨人が勝ち越すためには20日先発予定の西勇輝を攻略できるかどうかにかかっている。昨季、西勇の対巨人戦の成績は5試合で3勝1敗、防御率は1.77、これは対戦カード別で最良だ。

 今季も巨人は4月6日の初対決(甲子園)で7回を4安打と封じ込められて1敗を喫している。もっともこの時はコロナ禍の真っただ中で、阪神には1勝2敗と負け越した。戦力が整ってきたいま、どんな戦い方をするのかが焦点である。

 西勇、とにかく内、外角の低めへ丁寧にシュート、スライダー、フォークといった変化球を投げ込んでくる。巨人ナインは見ていると、この低めの球に手を出しては凡退を繰り返している。というのも、スピードがそれほどないから打てそうな気がする。振らされてしまう。内野ゴロを築く。いつもそうだ。

 ひざ元の球は振らない。目線を上げてベルト近辺の球を待って捉える。考え方だが低めのいいところに3球続けて決められたら仕方ない。こう割り切ることだ。西勇だっていつもいつも低めのいいところに決められるわけではない。

 ナイン一人一人ではなくチーム全体として徹底する。チーム全体で攻略にかかる。これが必要だと思う。

 阪神のチーム状況は実にいい。18日のヤクルト戦は今季最多の16安打、10得点で圧勝して7連勝、勢いにも乗って東京ドームに乗り込んでくる。

 1番・近本光司が当たってきたし、2番・糸原健斗もいい働きをしている。巨人の松原聖弥に似た感じだ。下位打線にいる梅野隆太郎捕手はしぶとい打撃で右、左へと広角に打つことができる。もちろん、ジェリー・サンズが好調を維持、4番・大山悠輔も14打点(19日現在)を挙げており主砲として機能している。新人の佐藤輝明がチームの活性化に一役も二役もかっている。打線がうまくつながっている。

 投手陣は本格復活してきた藤浪晋太郎、西勇の二枚看板に先発陣が6人そろう。リリーフはもともとそろっている。

 チーム防御率、そしてチーム打率がリーグトップだ。そりゃ強いはずだ。

 巨人は徐々にではあるが戦力が整ってきた。丸佳浩、中島宏之、若林晃弘、ゼラス・ウィーラーらの復帰も近そうだ。新外国人、ジャスティン・スモーク内野手(34)、エリック・テームズ外野手(34)は当初、20日の阪神戦から1軍合流と見られていたが見送られそうだという。

 もう少し実戦経験を積ませるためだろう。前回も記したが外国人選手だけはふたを開けてみないとわからない。わずか1、2週間くらいで日本の野球に慣れてしまう外国人選手がいると思えば、1シーズンやっても慣れずにダメというケースもある。

 外国人選手は一種の賭けだ。活躍したら大儲け、期待外れなら現有戦力でなんとかする。こう割り切ることだ。

 巨人はやはり菅野智之で勝つと違うね。16日のDeNA戦で完封勝利を飾った。力のある真っすぐが多く、しかも外角に決めていた。これまでのように変化球でかわそうといった投球ではなかった。本来の菅野に戻りつつある。

 最後になるが20日からの阪神3連戦、巨人がどんな戦いを見せるのか。大いに注目したい。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月20日掲載

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