プロ野球は「制限5000人」のはずが東京ドームは1万人超 コロナ感染リスクは本当に低いのか?
払い戻しは?
新型コロナウイルスの緊急事態宣言に準じた対策ができる「まん延防止等重点措置」。その適用地域が広がりをみせる中、本来は入場者数が5000人に制限されているはずのプロ野球の公式戦で、制限を大幅に上回る観客が球場に足を運び続けている。同措置を巡り、「適用決定前に発売済みだった分のチケットは有効」という偏屈な理由で5000人ルールが無視され、国や自治体が黙認しているのが原因のようだ。しかし、飲食店は営業時間が20時までに短縮され、旅行業界も適用地域への旅行のキャンセルが相次ぐなど他業界は同措置の適用で苦境を強いられている。それなのに、プロ野球だけ特別扱いが許されていいのだろうか。
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「観客数1万802人」――。同措置の適用地域に東京、京都、沖縄の3都府県が加わった直後の4月13日、東京ドームで開催された巨人-中日戦の公式発表の観客数だ。本来は制限が5000人のはずなのに、その倍以上の観客が訪れていたことになる。
同じ日に同じ東京で行われた神宮球場ヤクルト-横浜DeNA戦も観客数は7235人と、こちらも5000人を大幅に超えていた。
また、東京よりも一足早い5日から同措置の適用対象となっている宮城県においても、適用開始から1週間以上が経過したにもかかわらず、13日に楽天生命パーク球場で行われた楽天-千葉ロッテ戦の観客数6188人で、やはり5000人超えだ。
破られる制限
同措置の適用地域において、大規模イベントの入場者数の制限5000人というのは、政府が新型コロナ感染拡大防止の観点から、専門家の意見を踏まえて設定している数字である。当然、主催者はその制限を守らなければならない。
プロ野球では、各試合の主催球団が、既に販売したチケットの払い戻しなどを行い、入場観客数が5000人以内になるよう調整すれば済む話で、物理的にも可能なはずだ。
にもかかわらず、各試合の主催球団は「既に発売済みのチケットは有効」という何とも身勝手な理由で5000人を超える客を入れ続けている。
国や自治体も実質的にそれを放置してしまっている格好だ。
飲食業界でいえば、飲食店が「21時まで営業する想定で既に大量の材料等を仕入れているので、それを消費するため、20時ではなく21時まで営業する」などと主張した場合、それは許されるわけもないだろう。
むしろ、同措置の適用が始まった地域では自治体職員らが飲食店の見回りを本格化させるなど、ルール遵守を徹底させようと規制の動きが強化されているくらいだ。
また、同措置の適用対象地域となった沖縄や京都では、旅行客のキャンセルが相次ぐなど旅行業界も大打撃を受けている。
もちろん、プロ野球界も同措置を完全に無視しているというわけではない。
同措置の適用地域の球場では、「20時」の終了時間を守るべく、ナイターの試合開始時刻を17時半や17時45分に早めたり、球場内のアルコール販売時間帯を制限したり、同措置を意識した対応も取られている。
だが、やはり問題なのは、「密」「人との接触」を避けて少しでも新型コロナ感染リスクを減らす上で重要な人数制限が堂々と破られていることだろう。
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