プロもアマもバラバラ…コロナ禍で改めて浮き彫りになった日本球界の「根深い問題点」

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隣の様子を伺いながら

 とはいえ、各団体の連携や協力についてはまだまだ不十分と言えるのではないだろうか。大会の運営などについて、各年代、各地区の連盟などが一堂に会して対策を協議しているような話は聞かれず、強力なリーダーシップを発揮するような人物も現れていない。

 プロ野球は興行、学生野球は教育の一環という目的の違いがあり、同じ論理で行動できないのは致し方ないことであるが、このような緊急事態だからこそ協力してより良い野球界にしていこうという動きがあってしかるべきではないだろうか。

 現在の各団体の動きを見ていると、隣の様子を伺いながら、波風を立てないようにやり過ごしているようにどうしても見えてしまう。選手や関係者の安全がもちろん大切ではあるが、限られた期間しかプレーすることのできない選手に対して、少しでも良い環境で試合や日々の活動を行うことができるようにするためにはどうしたら良いかという議論がもっとなされるべきであろう。

 戦時下ではあらゆる大会が中止になる中でも、最後まで野球を続けようと努力した人たちが少なからず存在し、戦後の復興の中でもプロ野球の再開は驚くほど早いものだった。そういった先人たちが作ってきた歴史があるからこそ、今後に向けて野球界全体がより良いものになっていくような取り組みが少しでも増えていくことを望みたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月17日掲載

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