阪神「佐藤輝明」 このまま活躍できるほどプロの世界は甘くないという“根拠”

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三振のペースが加速

 今年のプロ野球で全ルーキー、いや全選手の中で最も注目を集めている選手と言えるのが佐藤輝明(阪神)ではないだろうか。4球団競合で地元阪神に入団すると、キャンプから快音を連発。オープン戦では12球団トップとなる6本塁打を放ったが、新人選手のオープン戦ホームラン王は1958年の長嶋茂雄(巨人)以来の快挙であった。公式戦に入っても、プロ初打席で犠牲フライを放って初打点をマーク。さらに神宮球場のバックスクリーンを超える特大のプロ1号を叩き込むなど順調なスタートを切った。しかしながら、ルーキーがそのまま活躍できるほどプロの世界は甘いものではない。

 そこでセ・リーグ全球団との対戦が終わり、二回り目に入った4月15日終了時点の結果から見えてきた課題と、今後の期待度について探ってみたい。まず、オープン戦12試合と公式戦17試合の成績を並べてみると、以下となっている。

オープン戦
12試合 45打席43打数13安打6本塁打9打点2四球14三振
打率.302 出塁率.333 長打率.744

公式戦(4月15日終了時点)
17試合 66打席63打数15安打5本塁打10打点2四球26三振
打率.238 出塁率.258 長打率.508

 これらの数字をみると、打率、出塁率、長打率全て公式戦に入ってから大きく下がり、苦しんでいるのがよく分かる。オープン戦の時点から三振は多かったが、そのペースはさらに加速しており、26三振は、この時点で12球団最多の数字となっている。

ボール球を見極められず

 さらに気になる点は、オープン戦から一貫しているのが四球の少なさだ。大学時代は相手投手にかなり警戒されたため、昨年秋のリーグ戦では10試合で11四死球という記録が残っている。だが、プロ入り後は四球を選ぶ数が激減している。

 追い込まれることを恐れて積極的に振りに行っているが、仕留めることができていない。その結果、ボール球が見極められずに四球を稼げないため、三振が増えているというが現状がある。

 同じ大卒ルーキーながら、ここまで3割を大きく超える打率をマークしている牧秀悟(DeNA)の成績を見てみると、三振数はセ・リーグでは佐藤に次ぐ18と多いが、四球はリーグでも上位の7個を記録するなど、ボールを見極めている。セ・リーグで上位の四球数を記録している選手の顔ぶれを見てみると、村上宗隆(ヤクルト)、坂本勇人(巨人)、鈴木誠也(広島)、佐野恵太(DeNA)、サンズ(阪神)。いずれもリーグを代表する打者で、四球をしっかり選んでいることがよくわかる。

 球種での成績を見てみると、佐藤がここまで放った5本のホームランのうち4本は変化球をとらえたものであり、速いストレートに苦戦している。佐藤のバッティングを見ると、なるべくギリギリまでボールを引きつけて近いポイントでとらえ、自慢のパワーで遠くへ飛ばすというスタイルに特徴がある。だが、プロの一軍クラスのストレートにはまだ対応できていない実情だ。

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