事件現場清掃人は見た リゾートマンションで孤独死した老人の部屋で仰天した理由
孤独死などで遺体が長時間放置された部屋は、死者の痕跡が残り悲惨な状態になる。それを原状回復させるのが、一般に特殊清掃人と呼ばれる人たちだ。2002年からこの仕事に従事し、昨年『事件現場清掃人 死と生を看取る者』(飛鳥新社)を出版した高江洲(たかえす)敦氏に、リゾートマンションで孤独死した“セレブ老人“について聞いた。
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1980年代後半のバブル期、温泉地やスキー場、避暑地などに建てられたリゾートマンション。老後に風光明媚な土地で暮らそうと夢見た多くの人が、数千万円の物件を購入した。しかし、バブル崩壊とともに開発は終わり、価格も大幅に下落した。今では資産価値がほとんどなく、タダ同然で売りに出されている物件もあるという。
「新潟のスキー場に建てられたリゾートマンションは、10万から50万円で販売されていることもあります」
と語るのは、高江洲氏。
「現在残っているリゾートマンションは、買い手がつかずに放置された空部屋と、老後に移り住んだ高齢者が暮らす部屋が少なくありません。そのため、高齢者の孤独死が次々に起こっているのです」
2匹の猫が生息
今回ご紹介するケースを依頼してきたのは、温泉地にあるリゾートマンションの管理組合だった。
「70代の男性が孤独死したと聞かされました。マンションは、豊かな自然に囲まれ、空気も澄んでいます。ここで悠々自適な老後を過ごしたいと考える気持ちはよくわかります。その温泉街にはデイサービスもあり、日用品はネットで購入することもできますから、生活するには不便もないでしょう」
しかし、実際のところ、マンションは半分ほどが空室だった。
「築40年近いマンションでした。ワンルームでしたが、都内の一般的な分譲マンションよりかなり広めでした。浴室には御影石が使われていて、温泉が引かれています。もっとも、硫黄のせいで御影石はすっかり白くなっていましたが……」
室内は、酷い状態だったという。
「生活ゴミが散らばり、使用済みの高齢者用のおむつが汚物とともに散乱していました。遺体跡などの状況から、亡くなってから発見されるまで1カ月くらいかかったと見られます」
その部屋で、高江洲氏はさらに驚くべきものを発見した。
「なんと、2匹の猫がいたのです。買い置きしていたエサを食べて、飼い主の死後も何とか生きながらえていました。部屋中の汚物は、どうやら人間のものだけではなかったようですが、大した生命力ですね」
部屋の中央には、大きなソファーとテーブル。そして重厚な作りの大きな机が置かれていた。
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