文在寅の検察ウルトラ改革が効果発揮 自身や側近は罪を犯しても処罰されない超法規的存在に
超法規的存在が登場
文政権は2019年12月31日、政府高官らの不正を捜査する「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」設置法を国会で通過させ、これで「検警捜査権調整」と合わせて、政権が公約に掲げた検察改革の2つの軸が実現したことになる。
1954年の刑事訴訟法制定以来、65年間続いてきた検察起訴独占主義の崩壊に、検察は「公捜処」は屋上屋を架す制度であり、また検事だけが令状を請求すると定めた憲法に合わないなどと強く反対した。
公捜処の捜査範囲は過度に広いものを想定しており、乱用が危惧される一方、高位公職者の犯罪容疑の隠蔽に悪用される可能性を指摘する声もある。
公捜処のトップは大統領が任命し、大統領府の指示で高位公職者への捜査の可否が決まる。要するに大統領の手先が政府高官の疑惑を捜査することになり、権力の不正が隠ぺいされる可能性が高まったのだ。
韓国検察はかねて「政治検察」と呼ばれてきた。
新政権が発足すると前政権の大統領や高級官僚を捜査して新政権側に立ち、レームダックの兆しが現れると現政権の中枢を捜査して末路に導く役割を果たしてきたのだ。
機を見るに敏とは言わないまでも検察のこういった習性を熟知していた文政権は、「検察改革」の美名のもと、前政権の不正を一掃する一方、自身に対する捜査は「公捜処設置」と「検警捜査権調整」で防御する体制を整えた。
支持率30%台のレームダックとなった現在でも、文政権に関わる各種不正疑惑に捜査の進捗が見られないのは、文政権が法務部と最高検察庁、さらには司法部も完全に掌握したからに他ならない。
弁護士出身で、検察権力と対立してきた文大統領いつ、どこで変節したのだろうか。
2011年に出版した共著『検察を考える』では政検癒着を批判しているし、「歴代政権で権力型不正が絶えないのは、検察が政権の顔色をうかがっているためだ。権力が人事を通して検察を後押しする」などと語ったこともあった。
文大統領に服従を誓う者たちは法治主義に反して擁護される。いわば、憲法と法原則の上に君臨する“超法規的存在”になった。民主共和制を採用したはずの韓国が、封建時代の身分制・階級制国家に退行してしまったのだ。
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