今年のプロ野球は“引き分け”が100試合以上? ならばタイブレークを導入すべきか

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スタートダッシュが重要

 コロナ禍によるシーズンも2年目となったプロ野球だが、今年新たに導入されたルールが9回での試合打ち切りだ。そのことで、間違いなく増えるのが引き分けである。延長12回制で行われていた一昨年の引き分けは22試合だったのが、延長10回制の昨年は1球団当たりの試合数が120試合と減少したにもかかわらず、引き分けは40試合と倍近くに増えた。今年はシーズンの約10分の1が終了した4月10日時点で引き分け試合数は既に11試合。このペースでいけば、年間100試合を超えることも十分に考えられる状況だ。

 引き分け数が多くなることで、まず影響してくるのがシーズン序盤の成績ではないだろうか。ペナントレースは、勝利数ではなく勝率で順位を決めるが、その計算方法は、引き分けとなった試合を除いた試合数から勝った割合で算出している。

 つまり、引き分けになれば、勝率は上がることも下がることもない。引き分けが多くなるということは、それだけ勝率が変動する確率が高くなるということで、短期間で順位をひっくり返すことが難しくなる。順位が上のチームは試合終盤に同点という展開となったら、無理に勝ちを狙わずに守りを固めてとにかく引き分けに持ち込もうと考えるケースも当然出てくるだろう。そういう意味でも、例年以上に開幕からのスタートダッシュが重要と言えそうだ。

攻撃面の采配にも変化

 試合での戦い方では、やはり投手起用に大きな影響が出てくる。昨年までは延長戦を考えて、ブルペンに投手を残しておく必要があったが、9回までとなればそういったことは考えずに投手をつぎ込むことが可能になった。

 3月28日の中日と広島の試合は0対0で引き分けとなったが、両チームとも先発は6回に降板。中日は7回から福敬登、谷元圭介、又吉克樹と細かく繋ぎ、9回は抑えの祖父江大輔を投入している。また、広島も7回から森浦大輔、ケムナ誠、栗林良吏と勝ちパターンの継投を見せた。同じ日の巨人とDeNAの試合も1対1で9回に突入したが巨人は中川皓太、DeNAは三嶋一輝と両チームともクローザーに最終回を任せている。

 このように同点でも「勝ちパターン」の継投が増えてくると、攻撃面の采配にもおのずと変化が出てくることになる。中盤までにリードを奪わないと苦しい展開になることから、セ・リーグなどは早めに投手に代打を起用して勝負をかけることも増えてくるはずだ。

 昨年は、中日の与田剛監督がベンチの野手を使い切ってしまい、延長10回の最後の攻撃で投手の三ツ間卓也を代打に送らざるを得なかったケースがあったが、9回で打ち切りとなればそのような事態を恐れずに、ベンチの野手をどんどん使うことも可能になる。

 そうなってくると、投手では終盤の勝ちパターンが確立されており、また野手では長打が期待できるような代打を揃えているチームが強くなってくる。セ・リーグでは、元々リリーフ陣が良く、糸井嘉男がベンチに控えている阪神、思い切った野手起用を得意とする原辰徳監督が指揮を執る巨人が有利に見える。パ・リーグは現在、楽天が好調だが、リリーフ陣を考えると、ソフトバンクと西武が上がってくる可能性が高そうだ。

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