空手パワハラ騒動、現場を目撃したコーチが証言 「竹刀の先端で突いてはいない」
「我が子同然に可愛がってきた」
さらに、別の全空連関係者はこう付け加える。
「香川師範が植草を可愛がっていたのは間違いない。数年前にナショナルチームが海外遠征した際、彼女が個人的に雇ったトレーナーの帯同を求めてきたことがあった。他の選手からは不満の声が上がりましたが、最終的には師範が認める格好で特例的に許可されています。カウンセラーをしている師範の奥さんも、植草から相談されると親身になって対応していた。植草は、昨年12月頃から師範と顔を合わせるのも辛くなったとブログに綴っていますが、ちょうどその頃、“奥さんと使ってください”と師範に自分で焼いた湯呑をふたつプレゼントしているのです」
やはり、あまりに突然のパワハラ告発に空手界の関係者は困惑を隠しきれない様子だ。
渦中の香川氏を直撃したところ、植草の告発については「いまは何もお答えできない」としながら、
「10年以上も植草の指導を続け、我が子同然に可愛がってきたつもりです。そんな彼女の顔を竹刀で突くような危険なことをするわけがありません。そこだけはハッキリと言っておきたい。たしかに、動画を巡って言い争いになったのは事実です。“あまりにはしたないじゃないか”と親心で𠮟りました。植草には誘惑に惑わされることなく、空手道に邁進してほしかった。大学院進学の話についても五輪を目指して精進するなら認めると伝えています。師弟として当たり前の信頼関係が失われてしまったのなら残念でならない」
父親は「関係は良好だと思っていた」
一方、植草の父親は困惑した様子でこう語る。
「今回の件は報道で知ったくらいで、歩から事前に相談はありませんでした。いや、驚きましたよ。香川先生との師弟関係は良好だと思っていましたからね。もちろん、歩をここまで強い選手に育ててくれた先生には感謝しています。とはいえ、歩も大人ですし、自分なりの考えがあってのことでしょうから、親としては見守るしかありません」
当の植草に、告発の真意について尋ねたところ、
「すみません。弁護士の先生に任せていて、いまは何もお話しできない状況なんです。ごめんなさい……」
と消え入るような声で答えるだけだった。
東京五輪で初めて正式種目となった空手だが、次回のパリ五輪では落選が決定。騒動の余波で、迷えるエースが金メダルを狙える最初にして最後のチャンスを逃すのは、あまりにも惜しい。
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