8つの容疑で起訴された尹美香 肋骨が折れた認知症の慰安婦から770万円をだまし取った疑惑が浮上
連れ回して歌を歌わせた
慰安婦支援を続けてきた「共に民主党」の尹美香(ユン・ミヒャン)議員。8つの容疑で起訴され裁判中の身だが、新たに、「肋骨の折れた元慰安婦を連れ回し、過酷な日程を消化させていた」という野党議員による告発が波紋を呼んでいる。
2017年12月1日から5日間の日程で、尹議員は韓国挺身隊問題対策協議会(現・日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯、正義連)の常任代表だった元慰安婦キル・ウォノクさんと欧州へ向かった。
主たる目的は、欧州連合議会の「日本軍慰安婦問題の解決を促す決議文」採択10周年に合わせてベルリンを訪問することだ。
欧州連合議会は2007年12月12日、日本政府に慰安婦犯罪を公式に認定すること、そして謝罪や歴史的・法的責任を問うことを促す決議文を採択している。
ドイツの平和・人権団体「ドイツコリア協議会」の招待でベルリンに到着したキルさんは、「戦時下の女性暴力」をテーマにしたカンファレンスやとドイツの財団が主催する人権賞授賞式に参加し、複数の韓国メディアが報道、正義連に大きな広報効果をもたらした。
その欧州訪問に際し、どんな問題があったのか。
4月3日、野党「国民の力」の余明淑(ヨ・ミョンスク)氏は、「17年にキルさんが尹議員と欧州へ行った後、肋骨が折れた状態で韓国へ帰国。4本またはそれ以上の肋骨の多発骨折と診断されていた」と告発を行っている。
キルさんの息子夫婦が、最近、体調を崩したキルさんを病院へ連れて行き、診療記録を確認してこの事実を知ったとされる。
余氏は、「尹議員と挺対協は、キルさんが肋骨を折った状態で連れ回し、歌を歌わせることがあったうえに、帰国後も骨折の事実を家族に隠した」と話し、波紋が広がっているのだ。
相手の心身障害を利用して
キルさんは約25年間、日本や世界各地で慰安婦被害を訴えて、謝罪と被害賠償を要求する活動を行ってきた。
慰安婦被害の賠償金を受け取った際には、全額を挺対協に寄付する約束さえしたという。
これまで何度も報じられてきたことだが、ここで改めて尹議員と正義連にかけられた疑惑をおさらいしておこう。
昨年5月、元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さんが、尹議員と正義連が30年余りに亘って、寄付金を着服するなど慰安婦たちを利用したと暴露。
尹議員は2018年と2019年に個人名義の口座で後援金を集め、横領の疑いが持たれた。
正義連の方は、ビール店で3000万ウォン(約230万円)以上を支出したされる水増し記載や、国庫補助金8億2000万ウォン(約8000万円)の申告漏れなど、補助金や寄付金を私的流用した疑いがある。
市民団体や政府省庁などから告発された尹議員は、検察から8つの容疑で起訴されるに至った。
具体的には、補助金管理法違反、地方財政法違反、詐欺、寄付金品法違反、業務上横領、準詐欺、業務上背任、そして公衆衛生管理法違反だ。
このなかで、準詐欺容疑が今回の当事者キルさんと関連している。
韓国の「準詐欺」とは、相手の心身障害を利用して財産上の利益を得る犯罪だ。
検察は医療記録などを通じた過去の捜査において、キルさんが重度の認知症を患っていると認定。
そして、正義連がキルさんに授与したはずの「女性人権賞」なる賞金1億ウォン(約980万円)のうち、7920万ウォン(約770万円)を当の正義連に寄付させたとみている。事実なら、キックバックとかマネーロンダリングと指摘される犯罪である。
女性人権賞とは正義連自身が作ったもので、女性人権運動家としての活動に敬意を表するという意味合いで 政府に登録された慰安婦全員に対して正義連から授与される賞だ。
[1/2ページ]