楽天に中国「テンセント」出資で霞が関が右往左往 米国の顔色を気にして残った問題点
すべて役所の胸先三寸
一方で、テンセント側からすれば、本当に届出が必要なのか、出した場合はいつ審査が終わるか、それが分からなければ増資が頓挫してしまう。先の通信業界関係者によれば、
「テンセントは複数の官庁と非公式に、数回にわたって話し合いを持ち、経営参画の意図がない点を契約書に明記してあることなどを説明しました。届出する必要のない“例外規定”に当たると主張したそうです。役所側はあくまでも、話を『聞きおく』ということで、公式には何も言わなかった事になっているようですが、テンセント側は例外規定に該当するので、最終的に届出は出さないと判断したそうです」
M&A(企業の合併・買収)に詳しい弁護士は、今回の決着を日本の役所らしいやり方だと評しながらも、今後に大きな禍根を残したと指摘する。
「これから日本経済がさらに悪化した場合、中国企業からの出資を受けて救済されるケースが増えると予想されます。ところが、どの段階で、どの程度経営に関与する場合に届出を出さなければならないのか、審査にどれぐらい時間がかかるのか、明確ではありません。中国企業との業務提携に注意が必要なことは確かですが、すべて役所の胸先三寸、それも米国のご機嫌を伺いながらでは、中国企業との業務提携や資本提携ができなくなってしまいます。
かつて行政指導が数多く行われていた頃の霞が関は、ゲームが始まってからゴールポストを平気で動かすと揶揄されていましたが、これからまた同じようなことが起こるようになるでしょう」
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