鉄道でも進むエコ化 じつは東急世田谷線で使われている最先端の技術

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他でも進むエコ化の取り組み

 鉄道における動力の変遷史は、同時にエネルギーの進化史でもある。戦前までは石炭を動力とする蒸気機関車、戦後から高度経済成長期は軽油で走る気動車、そして電車が登場し、全国に拡大してきた。

 電車の動力となる電気も水力、石炭火力、石油火力、原子力と進化してきた。その発電方法によって、環境に与える負荷は大きく違ってくる。

 最近の鉄道業界では、風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーの導入にも積極的に取り組む。

 いまだ発電量すべてを賄うことができる規模には至っていないが、JR東日本やJR西日本は駅に風力や太陽光発電の設備を設置し、再生エネルギーの拡大を目指している。再生可能エネルギーの導入はエコだけではなく、自ら電気を調達する仕組みを構築することで停電といったリスクにも備えることができる。

 エコ化への取り組みは、JRの専売特許ではない。東急電鉄の世田谷線は約5.0キロメートルという短い路線規模ということもあり、使用する電力を水力・地熱へと切り替えて早々に再生可能エネルギー100パーセントを達成した。

 これにより、東急は年間に排出するCO2量を東京ドーム約5.2個分の1263トン削減できると試算している。

 東急世田谷線は路面電車ということもあり、世間からレトロや昭和の雰囲気といったイメージで語られやすいが、見た目だけではわからない最先端の技術を用いている。

 鉄道がエコ化しても、見た目に大きな変化はない。強いて言うなら、蓄電池駆動電車は架線を必要としないので景観が向上するぐらいだろうか。乗客に直接的なメリットはほとんどない。

 しかし、蓄電池駆動電車は架線がない非電化路線から順次導入されるから、初期段階では景観向上という大きな効果は生まれない。

 それでも、鉄道業界は急スピードでエコ化を進める。それは鉄道が公共交通機関であるがゆえの使命感からきているのかもしれない。

 いずれにしても、菅義偉首相の掲げる「2050年までに温室効果ガス実質ゼロ」をリードするために、鉄道が大きな役割を果たすことは間違いない。

小川裕夫/フリーランスライター

デイリー新潮取材班編集

2021年4月7日掲載

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