プロ野球のチケット転売合戦もいざ開幕 阪神戦だけで2000件の不正転売
法で規制も摘発は数件のみ
もちろん、転売行為は法律でも規制されている。
転売ヤーが希少価値の高いチケットを転売目的で大量購入し、仲介サイトやオークションサイトで高額転売すれば、チケットを必要とする消費者に適正価格でチケットが行き渡らないようになり、観客の平等な観戦機会が奪われ、転売ヤーのみが不正利益を得ることになってしまうためだ。
2019年6月には「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(チケット不正転売禁止法)も施行され、違反すれば、懲役1年以下もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科せられることになっている。
ただ、チケット不正転売禁止法で禁じられているのは「興行主の同意を得ず、反復継続の意思を持って、興行主等の販売価格を超える価格で特定興行入場券を転売すること」とされており、捜査機関が摘発する上で、「反復継続性」を認定するハードルはかなり高いとみられ、適用事例はいまだ数件しかないのが実情だ。
複数サイトを利用して転売
そもそも、不正転売という違法行為をいわば黙認しているともいえる仲介サイト側の対策はどうなっているのだろうか。
各仲介サイトを分析してみると、ほぼ全てのサイトの利用規約に「業としての転売」を禁じる条項が盛り込まれており、違反した場合は出品取り消しや利用停止などの措置が取られるルールにはなっている。
だが、ある仲介サイト運営会社幹部は、「ある一定の基準を設け、一度にまとめて出品したり出品頻度が多かったりするケースでは、『業としての転売』とみなして対処する決まりにはなっている。ただ、転売ヤーもそんなに馬鹿ではないので、厳しい対処はなかなかできていない」と話す。
強制力のない仲介サイト側が、「業としての転売」を見極めるのは難しく、利用規約に基づく厳格な対応はほとんど取られていないのが実情のようだ。
まして、悪質な転売ヤーは、複数のサイトを使って転売を重ねており、自社の仲介サイトでの出品の枚数や頻度だけで「業としての転売」を判断しても、いくらでも抜け道があるのは明らかだ。
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