コロナで早くも窮地の巨人、絶不調「岡本和真」へのアドバイス【柴田勲のセブンアイズ】

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 巨人が早くも正念場を迎えた。5日現在2位だが、6日からは首位・阪神(甲子園)、3位・広島(マツダスタジアム)との6連戦だ。

 ここはなんとしてでも3勝3敗で乗り切ってほしい。最低でも2勝4敗だ。1勝5敗、6連敗は避けてもらいたい。

 冒頭からこんなことを記すのもご存じの通り「コロナ禍」に見舞われたからだ。3日のヤクルト戦前に実施したPCR検査で丸佳浩、中島宏之、若林晃弘が陽性と確定、さらにゼラス・ウィーラー、陽性判定者と接触頻度が高かったと判断された亀井善行、増田大輝、北村拓己も出場選手登録を抹消された。

 しかし5日、この3人は濃厚接触者に認定されなかった。近く再登録するという。すでにヤクルトも開幕直後に「コロナ禍」に直撃されているが、どんなに気を付けてもコロナに罹る時は罹るということだ。プロ野球は団体生活だ。ロッカーを共有するし、食事だってみんなで集まってとる。1人が罹ればどうしても伝染する。

 巨人の戦力ダウンは大きい。チーム自体の調子もよくなかった。ヤクルト3連戦にしてもヘタをすると3連敗していてもおかしくなかった。4日のヤクルト戦は立岡宗一郎、香月一也が代役でスタメンに入って働いた。7回にはヤクルトから移籍してきた廣岡大志が2死三塁から勝ち越しの三塁打を放った。戦力層は確かに厚いけど、ヤクルトのミスに救われた面があった。7回の1死二、三塁で古賀優大が捕逸して同点となった。流れを引き寄せて廣岡に殊勲打が出た。

 5回まで金久保優斗に、6回は近藤弘樹に無得点に抑えられてどうなるかと見ていた。価値ある1勝だ。

 いまの巨人は2点を取るのがやっとだ。7試合連続で1ケタ安打だ。(チーム打率.222でリーグ5位)

 まず、1番の梶谷隆幸の調子が上がっていない。1、2番でチャンスを作って走者を返す。これができない。坂本勇人、岡本和真、それに離脱した丸を含めて本塁打が出ていない。打率は低いし打点も少ない。(※)ウィーラーは8試合で打率.452と絶好調だったものの離脱だからこれは痛い。

 特に岡本和は不調の底にいる。自分の打撃ができていない。甘い球を見逃してボール球に手を出して凡退のパターンだ。

 相手投手に早めに追い込まれている。昨年本塁打と打点の2冠を獲得した。それだけに対戦チームは研究を重ねている。結果が出ない。いろいろ考えて悩む。つい当てにいく。

 こんな時はワンストライク目、ツーストライク目を思い切ってフルスイングする。真ん中あたりの球に狙いを絞る。何度も言うが、当てにいかずフルスイングすることだ。

 今後はとにかく、原辰徳監督も話しているが、全員野球だ。カギを握るのは投手陣だ。6日からのローテーションはエンジェル・サンチェス、畠世周、高橋優貴、菅野智之、戸郷翔征、今村信貴の順番か。

 先発投手が踏ん張れるだけ踏ん張って、中川皓太、ルビー・デラロサにつなぐ。高梨雄平、高木京介、チアゴ・ビエイラら中継ぎ陣もそろっている。

 幸いにもエース・菅野が早期復帰してきた。3月30日に脚部の違和感を訴えて出場選手登録を抹消された。先発を1回飛ばされたが先発の見通しが立ったようだ。

 開幕戦(DeNA)では6回を被安打8で3失点。力のある真っすぐが少なく、変化球でかわす投球だった。前回、「らしくない」と指摘したが、やはり影響があったのだろうか。巨人は菅野で勝てないと苦しい。本来の菅野の姿が見たいところだ。

 代役で2日のヤクルト戦に先発した野上亮磨はいい投球をした。6回、村上宗隆に浴びた一発だけだった。ど真ん中へのスライダーだった。魔の一球となった。

 一方、残念だったのはDeNAからFA移籍してきた井納翔一だ。3月31日の中日戦(バンテリンドームナゴヤ)に初先発したものの2回途中で31球、被安打5で4失点のKOだ。自己最短だという。すぐに2軍落ちとなった。

 真ん中、真ん中へとボールが集まっていたしボールに力がなかった。開幕前に頭部裂傷のケガをしたというが言い訳にはならないだろう。これなら畠、平内龍太らの若手を使った方がよっぽどいい、こう思ったほどだ。

 6日の阪神戦、大黒柱の西勇輝が先発する。昨年、巨人に5試合投げて完封を含む3勝1敗、防御率1.77だ。難敵に打線の奮起を期待する。

 注目は大物ルーキー・佐藤輝明だ。4日の中日戦はスタメンから外れたが満を持して出てくるだろう。思い切って振ってくる。出会い頭を捉えられたらやられる。佐藤輝が働いた阪神は乗る。最初が肝心だ。移籍した山本泰寛はどんな働きをするのか。

「コロナ禍」に見舞われた巨人、心配なのは新たな感染者の出現だ。どうしのいでいくかだが、スタートダッシュはもう望めないいま、若手の活躍を期待する。

 6日からの6連戦、巨人にとっては非常に重要だ。一戦たりとも目が離せない。ここで大きく負け越すと立て直しは容易ではない。

 ※記録は5日現在 坂本の打率.226、2打点 岡本和は打率.176、4打点

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月6日掲載

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