高校野球の華“ブラスバンド応援”は復活すべき…コロナ禍の甲子園を現地取材で総括

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1週間で500球の球数制限

 プレーに関しては大会前から好投手が多いと言われていたが、その起用法が大きく明暗を分けた。1週間で500球という球数制限が導入され、畔柳亨丞(中京大中京)と達孝太(天理)というプロ注目のエース2人は、その投球数を考慮しながらのプレーがどうしても必要となった。

 その一方で、東海大相模(神奈川)はエースの石田隼都を大会序盤の2試合と決勝戦ではリリーフで起用し、これまでの公式戦で全く実績のない石川永稀と求航太郎を抜擢したことが優勝の大きな要因となった。

 負けたら終わりのトーナメントだけに、経験の乏しい投手を起用することは勇気がいることであるが、今後も球数制限に関するルールが撤廃されることは考えづらいだけに、エース以外の投手をいかに起用していくかという点はさらに重要になってくるだろう。

 新型コロナウイルスが感染拡大してから、アマチュア野球の主要カテゴリーの中で行われた全国規模の大会では、昨年の社会人野球の都市対抗に続くものとなったが、大会途中の感染で出場辞退になるようなチームが出ずに、最後まで大きな混乱がなく終了したことは非常に喜ばしいことだ。

 今後も日程やルール、大会の運営方法など様々な点で改善の検討をしていく必要はあるが、令和の時代も多くの人を魅了する高校野球が続いていくことを願いたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年4月5日掲載

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