高校野球の華“ブラスバンド応援”は復活すべき…コロナ禍の甲子園を現地取材で総括

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同一地区同士での対戦が3カード

 東海大相模(神奈川)が劇的なサヨナラ勝ちで10年ぶり3度目となる優勝を果たし、幕を閉じた選抜高校野球。昨年はコロナ禍で中止となり、2年ぶりの開催となったが、あらゆる点で変化が見られた大会となった。そんな“ニューノーマル”な甲子園が、これまでとはどのような点で違っていたのか、現地取材を通して総括してみた。

 まず、大きな変化が見られたのが、大会前の組み合わせ抽選だ。長距離の移動や大人数での集合を避けるためにリモートで行われたが、そのこと以上に変化があったのが抽選方式と行われた時期である。

 同じ都道府県の出場校同士(宮城、奈良、兵庫の6校)が決勝まで対戦しないように振り分けた以外は、エリアを考慮しない“フリー抽選”となったことで、1回戦から同一地区同士での対戦が3カード組まれ、その全てが昨年秋の地区大会の再戦となった。

 また、福岡大大濠(福岡)は大崎(長崎)を破った次の試合でも九州大会で対戦した具志川商(沖縄)との試合となり、準々決勝で初めて他の地区のチームと対戦するという事態が発生している。

 リモートでの抽選で混乱がないようにということで、よりシンプルにするためにこの抽選方式にしたとのことだが、せっかく全国の各地から選抜されて行われる大会だけに、普段なかなか対戦することのない学校同士の試合を見たかったという声も多かった。

相手チームの分析がより重要に

 もうひとつの抽選会の時期だが、例年であれば開幕の1週間程度前であるが、今回は前倒しでの開催となり、約1カ月前に実施されることとなった。

 この結果、相手チームを分析する時間は大幅に増え、バッテリーの配球を見ていても同じボールを続けて要求するなど、打者の弱点を徹底して攻めるような場面が多かった。

 今大会では12試合が終了した時点でホームランが1本も出ず、コロナ禍によって昨年実戦の機会が少なかったことがその原因とも言われていたが、分析に時間を使えたということも背景としてあったのではないだろうか。

 夏は、地方大会と甲子園大会の間が少ないためここまで前倒しで抽選会を行うことは難しいかもしれないが、センバツについては今後もこのようなスケジュールで進むのであれば、相手チームを分析する力もより重要になってくるだろう。

 大会期間中の最大の変化は、やはり観客数と応援に制限を設けたことである。一般の観客数は1万人が上限となり、人気カードが集中した日の内野席はそれなりの埋まり具合となったものの、外野席はどうしても寂しい印象は否めなかった。アルプス席は学校関係者1000人を上限とし、応援もブラスバンドと声を出しての応援は禁止で録音音源と手拍子に限られたため、バックネット裏にいても、いつものような迫力は感じられなかった。

 東京六大学野球や東都大学野球では、応援を外野にするなどの措置をとっているが、ブラスバンドによる応援は高校野球、大学野球の文化になっている部分であるだけに、今後は何とか復活させる方向で検討してもらいたいところだ。

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