窮地の吉村知事が打ち出した「マスク会食」 大阪の食堂やレストランで喧嘩が増える?

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「春休み」「歓送迎会時期」を強調

 吉村知事は「先月中旬からの感染急拡大は春休みに入り、20代、30代の感染者が多い歓送迎会やコンパ、飲み会など感染リスクが非常に高い場面が増えたのが拡大につながっている」とし、「過去最高を超える数字になり、高齢者施設や家庭内。職場などに広がることが予想される」と警鐘を鳴らした。

 この日は定例会見のある水曜日で先に2時から会見があった。「蔓延防止については夕方の会議終了時に質問してください」とのことだった。「いままで650人が最高だったがこれを超える数値がすぐ出てくる」と予測めいた発言をし、さらに「緊急事態宣言を解除していなくても同じ結果になったと思う」などと話していた。昨年からのコロナ禍で大阪府の最高値は654人だった。

 もはや、緊急事態宣言にする数値である。吉村知事が一足早く解除させたことによる「緩み」が、今の激増と一致する。会議終了後の会見で筆者は吉村知事に「2時の会見で緊急事態宣言を解除していなくても同じ結果になったと思うと言われたが、その根拠は?」と問うた。急激な感染者増で、解除が早かったことへの批判を予想し、先手を打って防波堤を築いているようにも感じていた。吉村氏は「まず感染者は20代や十代の若い人でした。3月7日に解除しましたが、急拡大については、感染日などの内訳をみると春休みで人の動きが多くなっていいたことが大きく、解除の時期はあまり関係なかったのではと思っています」などと答えた。

独自の「マスク会食」案

 そんな吉村知事が打ち出している独自案が「マスク会食」である。レストランなどでの外食の際に、食べ物を口に放り込む時だけマスクを外し、すぐにマスクをして会話するというものだ。実に面倒だ。マスク会食について大阪市内のスナック経営者の女性は「こちらからお客さんにマスクしてないから出て行ってくださいとか、言えませんわ」と話す。大阪市内の居酒屋の男性は「食事中のお客さんにマスクしてくださいと言うのは難しい。そんなこと言ったらお客さんこなくなるし」と戸惑う。こうした店主が多いはずだ。

 吉村知事は「コロナは飛沫感染が多いから、まずこれを防ぎたい」とする。医学的にも異論はないだろう。今回の激増、卒業式や送別会、などで主に若者が集まって会食などをすることが原因であることは明らか。若者は新型コロナで死んだりはせず恐怖感が薄いだけに厄介だ。

 一方で吉村知事は従来から「コロナで死ぬのはウィルスよってだけではない」と強調し、経済苦から自殺者が出ることをよく引き合いに出す。そんな中での「マスク会食」案だった。

 マスク会食について筆者は「マスクしながら食べて、とされたら僕なら外食しないと思います。知事は窮地に陥った飲食業を何とかしたいということで動かれていたが、マスク会食で客が減ってしまうのでは」とも尋ねた。吉村氏は「時短要求をしてもいつかは戻さなくてはならない。そうするとまた感染者が増える。同じことを繰り返す。持続可能性を求めて、食事を楽しむスタイルを一歩踏み出し、感染に強い店づくりをしたい。発想を変えてみたが、マスクを上げ下げするのは慣れればそんなに難しくはないのでは。定着してくれれば」などとかなり長く答えてくれた。

 過料などの行政罰があるのは店主に対してだけ。「お客さんには府民としてお願いするということにしかならない」(吉村知事)。だが、このマスクの「マスク会食」案は気になることがある。大衆食堂、レストランなどで喧嘩が増えるのではないか。店主や店員は「客優先」で我慢しても客同士が「お前、マスク外して食っとるやないか」「食べるときにいちいちつけてられるか」などで喧嘩になりやすい。「食事中のマスク着用の義務」に行政がお墨付きを与えてしまったのだ。コロナ問題では当初から「マスク警察」などが出ており、心配だ。

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