「北朝鮮のスパイ政権」ではないのかと指摘される「文在寅」の野望
「平和の伝道師」になりたい
北朝鮮は援助を断れるほど潤っているのだろうか。
そんなはずはない。
昨年、中朝国境が新型コロナで閉鎖され、北朝鮮の対中輸出額は極めて低いレベルにとどまっている。
中国以外の輸出総額も低調で、脱北してジャーナリスト活動を展開するチュ・ソンハ氏によると、「北朝鮮では“外貨稼ぎの戦士たち” 300~400人程が、ハッキングなどで毎年、2040万ドル(約22億6000万円)の現金を稼いでいる」と明かすが、「体制を支えるには非常に少ない金額だ」という。
どうやら、やせ我慢をしてでも韓国からのサポートは要らないということのようだが、実は、北朝鮮の経済危機説は「大げさ」という反論も少なくない。
1990年代初期に社会主義陣営が崩壊して以降、「経済危機説」は壊れた蓄音機のように繰り返されてきた。
その原因として挙げられたのが、国連や米国の制裁による対外貿易経済規模の縮小や自然災害等による食糧需給減だ。
しかし、北朝鮮は経済開放ではなく、自力更生を通じた国内需給戦略を取ってきた国で、2012年に実権を握った金正恩は特に経済改革に注力。国営化を奨励し、農家の自律性を認めた。
そういった自力更生路線が奏功しなければ、米国本土を攻撃する能力を持つ大陸間弾道ミサイルICBMまで保有することは難しかっただろう。
金正恩は、今年1月の党大会で、北朝鮮経済が2016年に希望した水準に及んでいないことを認めたが、対外支援に頼らない「自力更生」路線を強調している。
さまざまな制裁の有効性には疑問がつきまとうし、それが決定打となっていない可能性は否定できないだろう。
文大統領は東京五輪の機を捉えて、南北トップ会談や米国を絡めた平和会合を狙っているという。「平和の伝道師」となり、自身の任期中のレガシーとしたい野望が見て取れる。
罪なき人たちを拉致し偽ドル札を刷りまくる犯罪国家の首領が来日を認められるとは到底思えないので五輪が利用される可能性は低い。が、任期があと1年を切ろうかという文在寅大統領の北へのすり寄りはエスカレートする一方だろう。
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