日韓関係は悪くても… コロナ禍で韓国好きの日本人女性が確実に増えたと言える理由

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エンタメ以外にもグルメ、コスメ、ファッションが浸透

 こうした韓国のエンターテインメントの特長は、“見せ方”が上手いことだ。

 例えば「愛の不時着」でセリ(ソン・イェジン)らが美味しそうに頬張るフライドチキン。どういうわけか韓国で食べるチキンは妙に美味しい。元々、韓国に通っていた人たちはドラマを見てあのチキンが恋しくなり、「愛の不時着」で初めて韓国に興味を持った方も「韓国に行ったらぜひ食べてみたい」と嬉しそうに話す。

 さらに「愛の不時着」のセリは韓国コスメの宣伝も忘れていない。ソン・イェジンがモデルを務めているコスメブランド「魔女工場」のアンプルが劇中に登場し、自らが使用して保湿力の高さをアピールしている。楽天市場のセール時には、このアンプルが人気ランキングの上位に入るなど、その影響力は絶大だったといえる。

「愛の不時着」に限らず、韓国ドラマでは主演女優がドラマで韓国コスメを意味もなく使用して宣伝するのはよくあること。いわゆる間接広告であり、ドラマ「星から来たあなた」ではチョン・ジヒョンが劇中で使用したスキンケア商品が爆発的に売れ、どの店舗でも品切れになった。

 同じように、サムスンがスポンサーになっているドラマでは主要キャストのほとんどがGalaxyのスマートフォンを使用しており、不自然なほどiPhoneは見当たらない。

 韓国ファッションも人気だ。楽天市場のレディースファッションでは「#韓国ファッション」というタグをつけたアイテムも少なくない。韓国ファッション専門のショップもあり、目を引く商品は売り切れている。ただ安いだけではない。デザインが独特で高見えする(※実際より高価に見える)のだ。

 日本人とは外見が大きく異なる欧米人のモデルが洋服を着用してもイメージが湧きづらい。その点、韓国ドラマにも登場しそうな顔立ちのモデルを起用している点も、親近感を持てる要素となっている。

キーワードはインスタ映え!? コロナ禍で流行った意外なもの

 元々、韓国人は写真を撮るのも撮られる好きなことで知られる。インスタグラムのようなSNSはまさに韓国人のためにあると言っていい。こうしたSNSによって、韓国に行かずとも今の流行を知ることができる。

 韓国人が発信する写真は良くいえば“映える”、悪くいえば“少々盛っている”。そんな演出で見ている者を引きつけていく。

 こうした見せ方の妙もあって、韓国ではもう何年も前からカフェが人気で日本人観光客も「韓国カフェめぐり」を楽しんでいた。

 女子の好きなスイーツもインスタグラムでは実に可愛く演出されている。冷静に考えれば日本のもののほうが美味しくとも、不思議と韓国のスイーツのほうが魅力的に映るのだ。

 コロナ禍では、実際に韓国のカフェに行くことはできないが、日本ではダルゴナコーヒーも流行った。インスタントコーヒーをアレンジし、2層に仕上げた新感覚のラテで、これまたインスタ映えする。

 ダルゴナとは古くから韓国にある砂糖菓子でカルメ焼きと訳される。上にのせるホイップ部分が「甘くてダルゴナのよう」とテレビ番組で紹介され、韓国でも急速に流行った。ビジュアルの良さから、インスタグラムに投稿されたダルゴナコーヒーはいつしか日本でも人気となっていた。これが思いのほか流行り、中には韓国で人気のドリンクと知らずにSNSで紹介している人もいた。

 最後に、外出自粛を余儀なくされたコロナ禍では韓国のインテリアも注目されたことをご紹介したい。

 “韓国女子スタイルの部屋”や“韓国カフェ風の部屋”という、あいまいない定義だが、そこは言ったもん勝ち。「これが韓国スタイル」と発信されれば、そのように見えなくもない。

 インスタグラムには数多くの「#韓国インテリア」が投稿されているが、基本的にナチュラルでシンプル、白やピンクを基調とした部屋が多い。そこにはキムチのようなカラーは存在せず、一見して“癒やし”が感じられる。これが日本のおしゃれな女子たちの目に留まり、居心地のいい部屋づくりの手本にもなった。

 コロナ禍の日本では、“韓国”をキーワードにしたものが流行り、浸透していった。

 元々、頻繁に渡航していた人は韓国に飢えており、「愛の不時着」がきっかけで韓国に興味を持った人は「行ってみたい」とワクワクしている。やはり日本の女性は韓国好きが多く、コロナによってむしろ増えた感もある。

 たとえ日韓関係が悪くても、コロナ収束後に行きたい国は韓国なのだ。

児玉愛子(韓国コラムニスト)

デイリー新潮取材班編集

2021年3月31日掲載

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