センバツに“ドラ1候補”が登場! プロ注目の逸材7人の実力を診断する
本格派右腕2人
連日熱戦が続いている選抜高校野球。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となったが、毎年ドラフト戦線はこの大会から本格的に動き出す。今年は、例年以上にプロのスカウト陣が注目する選手が多いが、その中でも好評価を得たと思われる選手の実力を診断した。
投手でまず双璧と見られていた小園健太(市和歌山)と畔柳亨丞(中京大中京)の本格派右腕2人は期待通りの投球を見せた。小園は昨年秋、和歌山県内の絶対的王者である智弁和歌山を県大会、近畿大会と2試合連続で破り、特に近畿大会では4安打完封と強力打線を全く寄せ付けなかった。
今大会の初戦も難敵の県岐阜商だったが、6四球とコントロールに苦しみながらも4安打完封。最速は147キロにとどまったものの、勝負所では見事なボールを投げ込み、最後までホームベースを踏ませなかった。ストレートよりも光るのが変化球と巧みな投球術だ。カットボールとツーシームが組み立ての中心となるが、同じ球種でも相手や場面によって、上手く投げ分けて少ない球数で抑えることができる。また、県岐阜商戦では中盤からスライダーを増やしてパターンを変えるなど、完成度の高さは高校球界全体でも頭一つ抜けた存在だ。
一方の畔柳は躍動感溢れるフォームからのパワーピッチングが持ち味で、初戦の専大松戸戦では12奪三振完封。ストレートの最速は小園と同じ147キロだったが、アベレージのスピード、ボールの勢いは間違いなく上回っていた。立ち上がりは少し高めに浮いたものの、3回以降はしっかりと修正。最終回にもギアを上げて140キロ台中盤を連発するなどスタミナも申し分ない。秋はスライダー、カットボールが中心だったが、この試合ではブレーキ抜群のチェンジアップも操り、投球の幅を広げていた。ストレートの迫力は大会でもナンバーワンと言える存在であり、プロ志望であれば、上位候補に入ってくる可能性は高いだろう。
三振を量産
続く存在としてアピールに成功したのが木村大成(北海)、達孝太(天理)の2人だ。木村は初戦で延長戦の末、サヨナラ負けを喫したものの、序盤は鋭く変化するスライダーを武器に三振を量産。ストレートは中盤以降失速したが、最速145キロをマークした。高校生サウスポーにありがちな粗さがなく、コントロールが安定しており、しっかり試合を作ることができるのが大きな長所だ。貴重な左腕として今後も注目を集めることになるだろう。
達は1年時から注目度の高い193cmの超大型右腕。ボールの角度は抜群で、鋭く落ちるフォークとスライダーを低めに集める器用さを持ち合わせている。初戦の宮崎商戦では変化球のコントロールに苦しみ161球を投じることになったが、走者を背負いながらも、粘り強い投球を見せて10個の三振を奪った。秋と比べて体重移動のスピードが出てきて、ストレートは最速146キロをマークするなど、スケールの大きさは魅力である。
大会前の注目度から比べて大きく評価を上げたのが花田侑樹(広島新庄)だ。長い手足を上手く使い、バランスの良いフォームから投げ込むストレートは最速144キロをマーク。高い位置から縦に腕が振れ、スピード以上に角度に素晴らしいものがあった。腕をしっかり振って投げられるスライダー、カットボールも打者の手元で鋭く変化する高レベルのボールだ。まだ細身だが、体が大きくなれば150キロ以上のスピードも十分に期待できるだろう。
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