有望選手が多く入学…「高校野球」私立を凌駕する“名門公立校”強さの秘密

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魅力的な学校に進みたい

 一方で公立であっても前述した習志野や明石商などは野球部専用のグラウンドを持っているほか、近年、三重県内で安定した結果を残している、いなべ総合も県立高校であるが、練習施設が非常に充実している。

 このように私立顔負けの公立高校があることを批判したいわけではない。単純に私立、公立というくくりで考えることに違和感があるということである。公立高校であってもあらゆる方法で野球部を強化することはでき、それがその地域や学校の活性化に繋がっていることもあるはずだ。県外や県内でも遠方から進学してくることを嫌う風潮は根強いが、私立であっても公立であっても選手にとって魅力的な学校に進みたいと思うのは至極真っ当なことである。

 選択肢が増えるという意味では、むしろ公立でもそのような学校があるということは高校野球全体にとってプラスとなるはずだ。多様性を認めることが重要と言われる時代において「私立だから」「公立だから」ということをいつまで経っても議論しているのは不毛なことである。あらゆる学校の存在を認め、新たな時代に適した形で高校野球がこれからも発展していくことを望みたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年3月30日掲載

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