暴力団「工藤会」壊滅作戦を指揮した検事、反社との戦いに捧げた生涯 人生最大のピンチとは

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 その元検事が亡くなって1年が経つ。土持(つちもち)敏裕。大蔵省の接待汚職事件のあおりで受けた処分をものともせず、心機一転、反社会的勢力との戦いに身を捧げた。時代の波に翻弄されながらも、現場で汗する警察官と記者を愛し、また愛された検事人生であった。

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「死刑に処するのが相当」

 2021年1月14日、暴力団「工藤会」総裁、野村悟に対する福岡地裁の論告求刑公判。福岡地検の公判立会検事の声が響いた。

 元漁協組合長射殺事件や看護師殺人未遂事件など四つの事件で、殺人や組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)などの罪で起訴された野村は表情を変えず、手元の200ページを超す論告要旨のコピーを目で追った。...

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