文在寅を「人権無視の人権派大統領」と認定したバイデン 国務省の報告書が凄すぎる

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周囲の空気を読まない文在寅

――文在寅政権は世界の動きを読めていないのですね。

鈴置:その通りです。米国についてだけでなく、北朝鮮、日本、中国がどう動くかをまるで読んでいない。

 他人の捨てる牌をまったく見ずに、自分の手作りだけを考えてマージャンを打っているようなものです。運が良ければ大きな手を上がれるかもしれませんが、ほとんどの場合、相手に振り込みます。

 ブリンケン長官が韓国を去って1週間後の3月25日、ロシアのラブロフ外相がソウルで鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官と会いました。

 国交樹立30年を記念しての外相会談と韓国政府は説明しましたが、外交関係者の間では、対米けん制を狙った韓ロの外交劇と見る向きが多い。

 韓国が米韓2+2で中国包囲網への参加を拒否した直後だったことに加え、ラブロフ外相が中国を訪問したその足で韓国を訪れた。「米国や日本という海洋勢力が中国をいじめるのなら、我々は団結するぞ」と大陸諸国が見せつけたように映るのです。

李朝末期、再び?

 韓国は米中対立を期に米国の勢力圏から離れ始めました。朝鮮半島情勢はどんどん19世紀末と似てきました。日清戦争(1894―1895年)後、李氏朝鮮は清朝の冊封体制から離脱した。

 しかし、自らを守る力を持たない朝鮮は米国の助けに期待したり、ロシアの庇護を願ったり、周辺大国の力関係も読まずにその場しのぎの外交に終始。迷走し孤立した朝鮮の先にあったのは、日本による植民地化でした。

 当時が再現して、韓国が大国の――今度は中国の属国になるのか、それとも心の奥底で願ってきた核武装中立に成功するのか。それはまだ不明ではありますが。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

デイリー新潮取材班編集

2021年3月29日掲載

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