文在寅を「人権無視の人権派大統領」と認定したバイデン 国務省の報告書が凄すぎる
飛びついた保守系紙
――韓国の保守は大喜び?
鈴置:もちろんです。こんな絶好のネタを保守系紙は見逃しませんでした。朝鮮日報は直ちに「朴元淳・曹国・尹美香…韓国の人権・腐敗を指摘した米国務省」(3月22日、韓国語版)を載せました。
この記事は報告書が「表現の自由の侵害」にも言及していると伝えました。朝鮮日報は報告書を独自に入手し、VOAの記事にない部分を掘り起こしたのです。そこを翻訳します。
・国務省人権報告書・韓国編は概要で「(報告書に)含まれる重要な人権問題」で表現の自由の制約に真っ先に言及した。
・その事例の1つとして挙げた北朝鮮向けビラ禁止に関し、国務省は「人権活動家と野党政治指導者たちは表現の自由の侵害と批判している」と指摘した。
・「言論の自由」と関連し、国務省は曹国元法務部長官に対する名誉棄損の嫌疑により1審で懲役8か月を宣告され、法廷で拘束されたジャーナリスト、ウ・ジョンチャン氏の事例に言及した。
・国務省は「国境なき記者会が、名誉棄損を懲役刑で罰しうるという司法体系は国際基準に合致しないと言及したうえ、ジャーナリストが大統領の参謀に対する名誉棄損で懲役刑を宣告されたことに憂慮を表明した」とした。
・コ・ヨンジュ前放送文化振興会理事長が文在寅大統領を「共産主義者」だと主張したところ、名誉棄損で1審無罪、2審有罪と宣告された。これについても「保守のNGOなどが無罪宣告破棄は政治的決定と批判している」と書いた。
「人権派大統領」の下で人権問題
朝鮮日報のこの記事は報告書を引用したうえで、「人権」を振り回してきた文在寅政権を次のように冷笑しました。
・キム・ソギュ元統一院次官は21日「トランプ大統領の衝動的対北政策に便乗し北朝鮮の人権は後回しにしていた文在寅政権が、民主主義の価値を重視するバイデン政権の登場で非常事態に陥った」とし「大統領が人権弁護士出身というのに、人権問題の指摘を受けるという状況が起きた」と語った。
この記事は「なぜ、国務省が韓国のセクハラ・腐敗問題を人権報告書でこと挙げしたか」に関しても考察しています。
・外交関係者の間では国務省が北朝鮮の人権と同時に、(韓国の)与党関係者らの不正腐敗、セクハラの事例にまで言及したことに注目する雰囲気だ。
・キム・ホンギュン前朝鮮半島平和交渉本部長は「米国が同盟国に対する人権報告書で、わざわざ盛り込む必要もない内容を入れた背景を把握するため、外交部が奔走するだろう」と述べた。
・外交部幹部経験者は「韓国政府が北朝鮮の人権問題から目をそらすことに対し、米国が全面的な民主主義の退行との観点で見つめている可能性がある」と語った。
この指摘は実に興味深い。「民主主義の旗手」を演じながら民主主義を壊す左派の欺瞞性。それを国務省の人権報告書が突いたというのです。
「ヒトラーの後を追う文在寅 流行の『選挙を経た独裁』の典型に」でも書いたとおり、韓国の内側から――保守だけでなく、左派の一部からも民主主義が壊れ始めた、と悲鳴が上がっています。それに外から共鳴したのが米国の人権報告書なのです。
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