なぜかワニやミミズを食べていた…変な趣味を持ったプロ野球「助っ人列伝」

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「バーナム画伯の似顔絵講座」

 一方で、“文化人”という、もうひとつの顔を持つ助っ人もいた。本職も顔負けの画才を披露したのが、09年に来日したロッテのゲイリー・バーナムjr.である。同年1月29日、成田空港に到着したバーナムjr.は、入団テストの末、採用してくれた同郷(米コネチカット州)のボビー・バレンタイン監督への感謝を込めて、鉛筆で描いた指揮官の肖像画を手土産に持参していた。

 父が農業を営む傍ら、画家として個展も開いていた影響から、自身も絵を描くようになったとあって、肖像画は趣味のレベルを遥かに超えた秀逸な出来栄え。「絵にはルールはない。本人がこれだと思えば、それが最高の芸術作品なんだ」が持論だった。

 その画才が評価され、5月10日の楽天戦終了後に「母の日」のイベントとして「バーナム画伯の似顔絵講座」も開催。青いベレー帽姿でステージに登場した“画伯”は、「これまでの野球人生で、自分のためのファンとの交流が開催されたのは初めて」と感激しきりだった。

 だが、本職の野球では、開幕直後こそ4割台をマークしたものの、終わってみれば、打率.218、4本塁打、22打点と振るわず、1年で退団となった。

 このほか、75年に広島のリーグ初Vに主砲として貢献する一方、試合前に広島大学医学部の研究室で寸暇を惜しんで勉強に励み、帰国後、整形外科医になったゲイル・ホプキンス、巨人在籍中の88年にロックバンドのドラマーとしてCDデビューをはたしたウォーレン・クロマティら、野球以外でも才能を発揮した助っ人も少なくない。今年から日本でプレーする外国人には個性的な選手はいるだろうか、今から楽しみだ。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮取材班編集

2021年3月29日掲載

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