ファンから批判殺到BTS「風刺画」は“アジア人差別”か カード会社の意図は別の所に

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BTSの批判は許されない空気

 Topps社への批判が止まないのは、今月16日に米国で起きた凄惨な事件も関係しているという。

 米国特派員が語る。

「カードの発売日でもあった今月16日、21歳の白人男性が韓国系の性サービスを提供するマッサージ店を襲撃して8人が殺害され、被害者のうち4人が韓国人女性でした。容疑者は“アジア人差別ではない”と供述しているものの、差別意識が動機だと報じたメディアもあったため、全米ではアジア系への差別意識が強く問題視されているのです」

 この事件の発生を受けて、

「事件発生の16日、同社を批判するメディアや人々は、この事件と絡めて“全米でもアジア人差別が大問題になっている中、Topps社の対応はあまりにも不誠実だ”と主張しています」(同)

 BTSのカードが、そもそも本当にアジア人を差別する価値観が先行して描かれたものなのかという疑問は前述した通りだが、そうした意見は米国では、

「言うのも憚られる状況です。先の韓国系マッサージ店への襲撃事件以降特に米国では“アジア系への人種差別”と糾弾されるのを極端に恐れて、BTSカードの議論どころか、そもそもBTSに対する否定的な意見さえ言いにくい状況になっています」(同)

 2018年に、BTSの楽曲が全米1位を獲得した際には、英ガーディアン紙は“あまりにもありふれた作品”と酷評したが、

「今はそうした音楽性への批評もしにくいです。BTSの楽曲を批判すれば、“アメリカの音楽シーンはアジア人を排斥している”“人種差別的だ”と言われかねません。ただ、実際は、BTSはアメリカでかなり知られているとは言え、音楽シーンのメインストリームではありません。大方の米国人にとって、BTSがグラミー賞を逃したのも自然な結果です。BTSがビルボード1位を獲得した際も、どれだけ本当の人気を反映しているのか定かではありません」(同)

 韓国芸能事情に詳しいライターが、“BTSビルボード1位”の背景を解説する。

「BTSにはアーミーという軍隊顔負けのファン組織があり、絶大な影響力と統率力を持っています。今回のカードへの猛批判も、アーミーが画像を拡散したことが大きかった。昨年9月にBTSの『Dynamite』がビルボード1位を獲得した時には、アーミーがマニュアルを共有したり、音源購入のための募金活動を行っていることなどを韓国紙が取り上げました。1位を獲らせるためにありとあらゆる手段を講じるアーミーを批判的に報じています」

 アーミーの力は絶大で、過去に米国の人種差別抗議活動への寄付金を募った際には、1日で100万ドル(現在のレートで約1億940万円)を集めたこともあった。

 先のライター曰く、

「今回の騒動で、一部のメディアやファンは、BTSを人種差別と戦いながらも米国で懸命に活動する健気なヒーロー集団のように評しています。とはいえ、当のBTSは人権に配慮したり、差別的表現をしないよう注意を払っているとは到底思えません」

 アーミーは少し冷静になった方がいいのでは。

デイリー新潮取材班

2021年3月28日掲載

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