蓮舫、新人候補の“リモート応援演説”を実況中継 「そりゃないよね」という声
喋り続ける蓮舫代行
更に香典問題についても、直接的な言及は避けながら、「不起訴不当と決定しましたから、街の声を訊くことなんてできないですよね」というニュアンスを滲ませた。
それに対し、自分たちのリモート街宣は有権者の声を国会に伝えることができる、と自画自賛し、山岸氏が「蓮舫さん、こんにちはー」と呼びかけたのだ。
用意されたモニターでは、「山岸一生さん、ご無沙汰しています」と蓮舫代行が笑顔で応じる。
だが、その画面は小さい。警視庁のように大型ビジョンをトラックに積んだ車輌が登場するのかと思いきや、家庭用としては大きめのモニターを路上に置いただけだ。率直に言って、かなり“しょぼい”。
音声は大きなスピーカーから流れるため、それなりの迫力はある。蓮舫代行は自民党のコロナ対策にどんな問題点があるか指摘していく。
次に立憲民主党のコロナ対策について説明する。あくまでも自分が喋り続け、山岸氏が口を挟むことは全くない。
感染対策に差?
これはリモートとはいえ、山岸氏のための「応援演説」だったはずだ。
普通なら「山岸さんは真面目な男で」とか、「政治部記者としての貴重な経験を、リアルな政治の場面に役立ててほしい」とか、あくまで山岸氏を主役としてエールを送るものだろう。
だが蓮舫代行は「自分がどれだけコロナ対策に尽力しているか」を滔々と語っただけだった。更に、参議院の予算委員会で“舌鋒鋭く”菅義偉首相(72)に迫るという“名場面”を、延々とビデオで流し始めた。その間、山岸氏は所在なげにモニターの横で、ただ立っているだけだ。
ビデオが終わると、蓮舫代行は“リモート街宣”の釈明を行った。
「本当だったら、ちゃんと石神井公園駅前に行って、皆さんと目と目を合わせて、街頭というのは熱伝導だと思っていますから、直接語りかけて、皆さんが何を感じておられるのか、何を思っておられるのかを、確認をしながらやっていきたいんですが、残念ながらコロナの感染拡大が心配されます」
コロナ禍による「制限がある中で、どうやって皆さんにお伝えできるか」と知恵を絞ってリモート街頭を考えだしたと言うのだ。
“ワン・ウーマン・ショー”の理由
とはいえ、山岸氏は街頭に立って有権者と向き合っている。まさか「自分は感染するわけにはいかないけど、山岸氏なら感染してもいいだろう」と、蓮舫代行が思っているだけではないだろうが……。
その後、質疑応答が行われ、2人の有権者が質問を行った。だが、それに答えるのは蓮舫代行だった。「山岸さんの考えも聞きましょう」などと振ることもなく、ひたすら自分が回答した。
これでは“リモート街頭”を行った主体は蓮舫代行であり、山岸氏は単なる付き添いに過ぎない。
“リモート街頭”を見るうちに、次第に山岸氏が気の毒に思えてならなかった。
政治担当記者が苦笑しながら言う。
「有り体に言えば、山岸さんは蓮舫さんの子分という位置づけです。前回の参院選に出馬したときも、蓮舫さんが山岸さんの応援演説をしていましたからね。そういうこともあって、山岸氏への配慮を忘れてしまったのかもしれません」
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