東京電力と右翼の黒幕「田中清玄」 共産党の発電所破壊工作を阻止した男(徳本栄一郎)

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 猪苗代第一発電所は福島県の会津若松、日橋川(にっぱしがわ)上流にある。猪苗代湖の湖水を使う水力発電所で、周辺は豪雪地帯として知られる。冬季は近づくだけでも容易ではない。

 大正初期に完成した施設は、今も首都圏に電気を送る、東京電力の大切な資産だ。赤煉瓦の外壁が美しい建物は、日本遺産に認定されている。

 終戦直後の1950年の夏、この発電所を巡って、会津若松市内は一触即発の緊迫した空気が流れていた。

 東京から続々と乗り込んだのは、目つきの鋭い復員兵や元特攻隊員、空手の達人の大学生である。...

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