三浦大輔は一度も勝てず…プロ野球「開幕投手」選ばれし12人の“大記録”“珍記録”

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通算回数歴代トップは……

 3月26日に開幕するプロ野球。“開幕戦の華”とも言うべき開幕投手は、チームで最も信頼のおけるエースが指名されるのがほぼお約束だが、過去には、意表をついたエース以外の起用や突然の代役指名など、さまざまなエピソードもある。また、開幕投手を何度も務めた投手の中にも、不滅の大記録やマニアックな珍記録を残した者もいる。そんな開幕投手にまつわるトリビアを集めてみた。

 開幕投手の連続回数トップは、1975年から12年連続の山田久志(阪急)だ。開幕戦の通算成績は8勝2敗、5年連続完投勝利と輝かしい記録を残している。一方、開幕投手の通算回数をみると、その山田でさえも、通算12回で歴代4位にとどまる。通算回数の歴代トップは、金田正一(国鉄→巨人)と鈴木啓示(近鉄)が14回で肩を並べている。なお、鈴木は山田を上回る通算9勝を挙げて、開幕戦の最多勝記録保持者でもある。

 また、5球団を渡り歩いた渡辺秀武は、71年に巨人、74年に日本ハム、77年に大洋と史上最多の3球団で開幕投手を務めた。今季は涌井秀章(西武-ロッテ‐楽天)が渡辺に次いで2リーグ制以降2人目の栄誉を実現しそうだ。

“球界の七不思議”

 一方、最多敗戦記録は、金田の「8」。次いで東尾修(西鉄→太平洋→クラウン‐西武)と三浦大輔(横浜→DeNA)が「7」で並ぶが、0勝7敗の三浦は、連敗記録でNPBワーストになる。

 99年のヤクルト戦で初めて開幕投手になった三浦は、6回まで1失点に抑えながら、1対1の7回に連打を浴びてKO。その後も05年の中日戦で、0対0の9回にアレックスにサヨナラ満塁弾を浴びるなど、好投すれども報われずのパターンが続く。そして、09年も3本塁打を献上し、リリーフながら開幕投手に抜擢された浅尾拓也に軍配。ついにこれまでのワースト記録だった東尾の「6」を抜いた。

 そんな三浦も、開幕第2戦、第3戦では通算6勝0敗と無類の強さを発揮しているだけに、通算172勝の実力者が開幕戦で1勝もできなかったのは、“球界の七不思議”と言うしかない。

 阪神時代の小林繁もまた、80年から4年連続開幕投手を務めながら、82年に不運な敬遠サヨナラ暴投で敗戦投手になるなど、0勝3敗と未勝利に終わっている。ちなみに開幕投手の最年長記録は、98年の大野豊の42歳7ヵ月、最年少は52年の大田垣喜夫の18歳5ヵ月と、いずれも広島勢が記録している。

 今度は開幕投手にまつわる珍エピソードだ。2リーグ制に分かれた50年、新生球団・国鉄の開幕投手を務めたのは、31歳のルーキー・成田啓二だった。

 実は、当初開幕投手を務める予定だった古谷法夫がプレッシャーに耐えきれず、姿をくらましてしまったため、急きょお鉢が回ってきたのだ。成田は緩い球を効果的に使い、5回まで無失点と好投したが、6回に2点を奪われ、惜しくも負け投手に。その後、デビューから11連敗という日本記録(07年に楽天・松崎伸吾も記録)をつくったことでも知られる。

 また、60年の大洋は、エース・秋山登が開幕投手を務めるはずだったが、試合前の練習中に相手チームのコーチのノックバットが額を直撃するアクシデントで病院に搬送されたことから、前年7勝を挙げた幸田優が代役に指名された。試合は3対4で敗れ、幸田は翌日の中日戦でもリリーフで負け投手になったため、開幕2日で2敗の珍記録となった。

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