“4回転ジャンパー”紀平梨花、難敵ロシア勢に対抗する秘策はあるのか?

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“絶望”と称されるワリエワ

 ただ、彼女は昨季のロシア選手権で、4回転トウループに挑んでいるが、今季はコロナ禍による練習場の閉鎖と自身のコロナウィルス感染により、4回転をプログラムに組み込めていない。今季の世界選手権では、トリプルアクセルと4回転の両方を跳ぶ女子は、紀平だけになる可能性があることから、ロシア勢の一角を崩すことも期待されている。

 しかし、2022年に開催される北京五輪を見据えると、ロシア勢にさらなる強敵が加わることが予想されている。2月末から3月頭にかけて行われたロシアカップファイナルで表彰台に上ったのはすべて14歳の少女。彼女たちは来季シニアデビューが可能になる有力選手だ。

 1位のワリエワは、フリーでトリプルアクセル1本(成功)・4回転サルコウ1本(転倒)・4回転トウループ2本(1本は着氷で乱れ、2本目は転倒)、2位のマイア・フロミフは4回転サルコウ・4回転トウループを各1本(2本とも成功)入れてきた。特に、芸術面でも優れ、他選手の戦意をくじくほど頭抜けていることから“絶望”と称されるワリエワは、末恐ろしい存在である。

 これに対して、紀平も常に進化を続けている。開幕まで一年を切った北京五輪に向け、自身にとって2種類目の4回転となるトウループにも挑むことを明らかにしている。

 日本女子のプライドであるトリプルアクセル、ロシア勢に追いつくための4回転を磨く……紀平梨花の熱く激しい戦いが始まった。

沢田聡子(さわだ・さとこ)
1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。公式サイト「SATOKO’s arena」

デイリー新潮取材班編集

2021年3月21日掲載

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