菅総理に粛清された元総務省局長が語る“独裁伝説” 進言すると更迭…「官僚は彼に追従ばかり」

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 今、ひとつの秘録が改めて繙(ひもと)かれる――。半年前、稀に見る高支持率で船出した菅義偉(よしひで)内閣。だが、現在の菅総理に「輝き」を感じる人が果たしてどれだけいるだろうか。なにしろ、彼はこうあだ名をつけられているのだ。「スガーリン」。

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 2月26日のぶら下がり会見で、「同じような質問ばかり」と記者に逆ギレした菅総理。政権運営が上手くいかないストレスからか、「イラ菅」ぶりを発揮し、ますます先行きが危ぶまれる結果を招いてしまった格好だ。大手メディアの政治部デスクが解説するには、

「気に入らない官僚を冷遇するといった強権ぶりもあり、永田町・霞が関では、菅さんのことをスターリンになぞらえ、陰で『スガーリン』と呼んでいます。実際、菅さんは『あの官僚はあっちなのか、こっちなのか』を非常に気にする。つまり自分に100%従うつもりがあるのか、そうではないのか、二元論で考えている節があるんです」

 結果、人心は離れつつあるわけだが、現下の事態を当然視する人がいる。

「後手は必然」

「菅さんは究極の自己中心的人間ですからね」

 こう語るのは、元総務省自治税務局長の平嶋彰英(あきひで)氏(現・立教大特任教授)だ。彼はまさにスガーリンによって粛清された過去を持つ。平嶋氏は局長を務めていた2014年、当時官房長官だった菅氏に、ふるさと納税に関して意見具申した。そこで「事件」が起きる。

「ふるさと納税は菅さんが総務大臣時代に打ち出した肝煎りの政策でした。ところが制度の負の側面が顕在化し、高額所得者ほど得をする問題点が指摘されるようになった。挙句、『100%得をする ふるさと納税生活』なる本まで出るようになっていました。これはさすがにおかしいので、その年の11月のある日、私は問題の本を持参し、資料も作成して、菅官房長官のもとを訪ねたんです」(同)

 ところが菅氏は、

「『そんな(本を出す)奴ばかりじゃない』と、話をまともに聞こうともしなかった。しかも同日、内閣官房の職員を通じて、私が持参した資料をわざわざ突き返してきたんです。翌15年の夏前に、高市(早苗)大臣のところに行ったら、『あんた、菅ちゃんと何かあったの? 人事案を持って行ったら、あんただけは“×”だって』と言われました」(同)

 そして平嶋氏は自治大学校長に異動となり、総務省内では「更迭」とみなされた。

「菅さんは自分の耳に痛い話は全く聞こうとしない。だから、官僚は彼に追従ばかりするようになる。正しい情報が入ってこなくなれば判断を誤るのも当然で、コロナ対策の後手ぶりも必然的な結果だと感じます」(同)

 そんなスガーリンは来る総選挙の顔にふさわしくないとして、目下、足元の自民党からはこんな噂が聞こえてくるのだった。自民党細田派のある代議士が耳打ちする。

「菅政権は事実上、『菅・二階政権』。二階さん(俊博・幹事長)をセットで辞めさせないと権力構造は変わらない。『菅・二階』に対抗できるとすれば……『安倍・麻生連合』だな」

 菅総理による強権的政治が勝つのか、それとも逆にスガーリンが「菅おろし」という粛清の返り討ちにあうのか。

 最後に、平嶋氏はスガーリンのあだ名についてこんな感想を漏らした。

「その通りだと思います。困ったものです」

週刊新潮 2021年3月18日号掲載

ワイド特集「変な噂 悪い噂」より

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