東証1部復帰の東芝、大株主と対立 要求される無理難題に「会社の成長の芽を完全に摘む」

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 3年半ぶりに東証1部に復帰できた「東芝」に、やっかいな相手が立ちはだかっている。第1位と第2位の大株主が東芝と対決することになったのだ。

 経済紙のデスクが言う。

「第1位の株主は元村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタルで持ち株は9・91%、第2位はファラロン・キャピタルというアメリカの大手ファンドで5・37%を保有しています。昨年の12月、両ファンドが相次いで臨時株主総会の招集を求めてきたことから、3月18日に開催されることになったわけです」

 まず、エフィッシモが突き付けた提案は、第三者委員会を設置せよというもの。

「昨年の定時株主総会の際、経産省の参与が東芝の大株主・ハーバード大学基金に議決権を行使しないよう圧力をかけたと報じられた問題と、信託銀行の手違いで一部の議決権行使書が無効扱いされてしまった問題について、改めて調査するように求めてきたのです」(同)

 これに対し東芝は外部弁護士を入れて調査し「圧力」には関与していなかったと反論。議決権行使書の無効問題についても隠蔽等はなかったとの調査結果を出している。今ごろ第三者委員会を作っても業務に支障を来すだけ、というわけである。

 では、ファラロンの提案はどうか。

「こちらはもっと大胆で、今後、5年にわたって東芝の営業キャッシュフローを全額株主に還元しろというもの。簡単に言えば“仕入れ”のために蓄えておく分も含めて、儲けを全部差し出せという要求です」(同)

 ハゲタカファンドらしいといえばそれまでだが、ファラロン側の理屈はこうだ。

「それまで東芝は再建計画(東芝Nextプラン)の中で数十億から数百億円規模の少額のM&Aを行うとしていたのですが、ファラロンによると昨年11月になって、東芝が態度を翻し、1兆円規模のM&Aをすると言い出したことになっている。そんな金があるのなら株主によこせというわけです」(同)

 もっとも、東芝によると従来から方針は変わっていない。むしろ、

「ファラロン様の主張は、中長期的な会社の成長の芽を完全に摘むことになるものであります」(広報室)

 さて、総会の票読みはというと、エフィッシモの提案には議決権行使助言会社「ISS」が賛成している一方、大手ファンド「ブラックロック」が5・21%まで株を買い増して東芝側を応援すると見られている。

 1部復帰で東芝の株価は上昇中だ。“もうひと稼ぎ”を狙うハゲタカとの勝負やいかに。

週刊新潮 2021年3月18日号掲載

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