センバツで“史上最強”大阪桐蔭を倒すチームは…市立和歌山、県岐阜商それとも
最激戦区ゾーン
今月19日に開幕する選抜高校野球出場32校の中で優勝候補の筆頭と見られているのが大阪桐蔭だ。今年3年生になる世代は、2018年の春夏連覇を見て入学してきた選手ということもあって個々の能力が高く、歴代のチームの中でも最強クラスとの呼び声も高い。特に、松浦慶斗、関戸康介の最速150キロを超える本格派2人を揃える投手陣は出場チームの中でも間違いなくナンバーワンといえるだろう。
しかし、2月23日に行われた組み合わせ抽選会の結果を見ると、大阪桐蔭は最激戦区となるゾーンに入った。最初の難関となるのが、初戦で対戦する智弁学園(奈良)だ。近畿大会の決勝では試合序盤から松浦が失点を重ねて3対7で敗れている。
1年時から中軸を任されている前川右京と、昨年秋の近畿大会4試合で15打数10安打2本塁打と打ちまくった山下陽輔の中軸2人は大会屈指の強打者であり、打線の迫力は大阪桐蔭にも引けを取らない。
ただ、西谷浩一監督が就任以降、大阪桐蔭は甲子園の初戦で16戦全勝と圧倒的な強さを誇り、智弁学園と一度対戦しているという経験もプラスに働くと考えられる。先発が予想される松浦がよほどの乱調にならない限りは、大阪桐蔭が有利だろう。
大会ナンバーワン投手の存在
智弁学園以上に大阪桐蔭にとって強敵になるチームが同じゾーンに入った市立和歌山、県岐阜商の2チームだ。市立和歌山は何と言っても、大会ナンバーワン投手の呼び声高い小園健太の存在が大きい。昨年秋も東播磨(兵庫)を1失点完投、県大会の再戦となった智弁和歌山を4安打完封と圧巻のピッチングを披露。準決勝の智弁学園戦は先発した他の投手が打ち込まれて敗れたものの、小園自身はリリーフで4回を投げて被安打1、四死球0、無失点と強力打線を完璧に抑え込んでいる。大阪桐蔭にとっては最も勝ち上がってほしくないチームと言えそうだ。
一方、県岐阜商は東海大会では準優勝ながら、攻守のバランスの良さは大会でも上位であることは間違いない。エースの野崎慎裕、プロ注目の大型捕手である高木翔斗のバッテリーを中心に下級生の頃から経験が豊富なメンバーが揃うのは大きな強みだ。他校からの多くの誘いを断って、母校復活に賭ける鍛治舎巧監督は今年を勝負の年と位置付けているだけに、小園を攻略して勝ち上がってくる可能性も十分にありうる。
大阪桐蔭が勝ち進んだ場合、準決勝で対戦することになるゾーンでは中京大中京(愛知)、東海大菅生(東京)、常総学院(茨城)、敦賀気比(福井)の4校が有力校だが、中でも一歩リードしているように見えるのが中京大中京である。
エースの畔柳亨丞は小園、松浦、関戸と並ぶ今大会を代表する本格派右腕で、昨年秋の時点ではストレートの勢いはナンバーワンとも感じる迫力だった。センターラインを中心に野手も力のあす選手が多く、総合力では大阪桐蔭に次ぐ存在だ。
ただ、1回戦最後の試合からの登場で、勝ち進んだとしても4日間で3試合をこなさなければならない過密日程は大きなハンデとなる。初戦の専大松戸戦で畔柳をかなり温存して勝ち切らなければ、大阪桐蔭に当たる前にかなり苦しい状況になるだろう。
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