「おちょやん」が前代未聞の視聴率16%台連発 杉咲花そっちのけに視聴者はそっぽ

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星田英利で16%台

 16%台を連発したのは、この翌週だった。

「サブタイトルは『兄弟喧嘩』でした。喜劇王・チャップリンの来日が決まり、鶴亀家庭劇と須賀廼家万太郎一座を競わせて、客の多かった一座にチャップリンを招待することが決定する。そこで、かつてコンビを組んでいたもののケンカ別れした、家庭劇の“ほっしゃん。”こと星田英利と万太郎一座の板尾創路が主役となりました。家庭劇は後の松竹新喜劇をモデルにしていますから、杉咲演じる浪花千栄子を描くには避けて通ることはできません。ところが、ストーリーはヒロインそっちのけで、星田の熱演がクローズアップされたのが、まさに9日(16・6%)と10日(16・4%)でした。髪を振り乱して激高し、迫力もありました。ただし、なんだか画ヅラが汚い。彼が着ている、どてらのような衣装のせいもあるでしょうけどね。そして残念ながら、ほっしゃん。は朝から見たい顔ではなかった」

 確かに熱演だった。大河ドラマかと思うほど。

「夜向きなんですね。板尾も名倉潤も、ヒロインの父を演じたトータス松本だってそう。俳優たちに加えて、舞台となった場所もなんだか汚い。『エール』は福島、『スカーレット』は琵琶湖の見える滋賀、そして『なつぞら』は北海道と、爽やかな青空と田舎の風景も美しく、朝から清々しい気分にしてくれました。それらに比べて『おちょやん』は、いきなり河内長野のボロ屋と鶏小屋からスタート。大河『龍馬伝』で話題となった、香川照之演じる岩崎弥太郎の実家のようでした。スタートダッシュの失敗の原因は、ここにあったと思います。それ以降も土埃の舞う大阪・道頓堀と芝居小屋、芝居茶屋ばかりで、画面が常に茶色がかっている。朝から見るにはちょっとね」

 実は、「おちょやん」初の16%台は2月11日に記録している。

「この日は16・4%でしたが、星田と杉咲たちが舞台対決をする回でした。やはり星田の熱演が光っていました」

 話題ともなった関西弁のセリフも足を引っ張っていると見る。

「杉咲の関西弁の評価はいい。それは彼女の品の良さとはんなり感のおかげでしょう。その点をのぞけば、『おちょやん』の関西弁は地元民でもついて行けないくらい口調が早く、ガラも悪い。いくら東京キー局の番組に関西の芸人が出ているとはいえ、明石家さんまやナインティナインの関西弁に慣れた関東人だって引いてしまうでしょう。やすし・きよし、桂三枝(現・文枝)の時代から、テレビで使われる関西弁はマイルドにブレンドされていますからね。それを、さんまさんはもちろん、今田耕司、東野幸治、フットボールアワー後藤、久本雅美だって受け継いでいるんです」

 このままでは、20%超えは最後まで無理だろうという声も出始めている。

デイリー新潮取材班

2021年3月16日掲載

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