山田裕貴が教師役、「SDGsモノ」「若手俳優の青田買い」として見るドラマ「ここは今から倫理です。」

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茅島みずき、池田優斗、渡邊蒼…

 そして、なんといっても生徒役。これからテレビドラマ界で飛躍しそうな若手俳優に、ちゃんと見せ場がある。「若手俳優の青田買い」という汚れた大人の目線でもおおいに楽しめる。

 まず、逢沢いち子を演じる茅島みずき。スタイル抜群でモテ系女子と思いきや、誰とでもいたす下半身奔放系。その背景には虐待された過去と歪んだ認知もあった。

 男子生徒から合意なき性行為を強要されたところを山田に救われてから、妙に山田に懐く。軽薄で雑に見られるものの、根っこは誰よりもフラットで平等。相手が男であれ女であれ年上であれ、態度は変わらず。

 周囲に流されずにちゃんと主語をもつ。バカにされようとハブられようと、くだけた明るさでカラッとしている茅島の姿は、観ていて気持ちがいい。同調圧力に屈しない女の子だ。

 茅島とよきコンビとなるのが、いじめられっ子からの脱却を目指す谷口役の池田優斗。

 令和ののび太くんみたいな立ち位置だが、決して女子を下に見ない。クラスにひとりはいてくれるシンパシー男子を好演。

 子役としてのキャリアを積み、コメディ色を強める装置(重いテーマ回であっても、ちょっとホッとする箸休め)として大活躍なのだ。

 また、夜な夜な遊び歩くために学校では常に眠くてだるい男子・間を演じたのは渡邊蒼(ワタナベ・アオ)。

 彼はNHKスペシャル「詐欺の子」(2019年放送)で、14歳で特殊詐欺の受け子にさせられてしまう少年を演じた。ちょっと川谷拓三を思い出させる佇まい。

池田朱那、中田青渚、板垣李光人…

 男性教師をその気にさせてセクハラに仕立てようと目論む女子・深川を演じた池田朱那(イケダ・アカナ)は、妹への歪んだコンプレックスを体現。

 新興宗教を妄信する母親への抵抗で自傷行為を繰り返す女子・高崎を演じた吉柳咲良(キリュウ・サクラ)からは、思春期女子特有の危うさが切実に伝わった。

 集団主義に違和感を覚える女子・南役の中田青渚(ナカタ・セイナ)に、強く共感した高校生もたくさんいるのではないかしら。

 一種の愛着障害を抱えている男子・都幾川を演じたのは、板垣李光人(イタガキ・リヒト)。繊細で儚げなルックスの板垣はこの役にぴったり。4月から始まる新ドラマ「カラフラブル」(日テレ系)ではジェンダーレス男子を演じるそうで、今から楽しみでもある。

 過干渉な母の思いを受けとめすぎて自分を抑えている男子・田村を演じるのは、杉田雷麟(スギタ・ライル)。すでに映画「山歌」の主演も務め、朝ドラ「エール」にも出演していたっけ。

 あ、一番キャリアが長いのは山野役の浦上晟周(ウラガミ・セイシュウ)だ。子役から始めてキャリアは10年以上。浦上を観るたびに、「あら、大きくなったわねぇ…」と思わず目を細めてしまう親戚のおばちゃん気分。

 名前の読み方が難しいのも平成生まれの若手俳優ならでは。今期は「青のSP 学校内警察・島田隆平」(フジ系)も学園モノなので、重複出演する俳優も何人かいる。

 いずれにせよ、これからの活躍が期待できる若手ばかり。民放各局ドラマ制作の皆様、要チェックですよ。

吉田潮(よしだ・うしお) テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

デイリー新潮取材班編集

2021年3月13日掲載

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