鈴木直道・北海道知事が隠したい過去 「夕張リゾート」を中国系企業に売却、不可解な点が

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 コロナ対応で脚光を浴びた“知事”といえば、大阪の吉村府知事に次いで名前の挙がるのが、鈴木直道・北海道知事(39)。国に先駆けて「一斉休校」や「緊急事態宣言」に踏み込んだことも記憶に新しい。だが、このイケメン知事を巡っては、古巣「夕張市」から怨嗟の声が絶えないのだ。

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 広大なスキー場を擁する「ホテルマウントレースイ」に人影は見当たらない。かつて客でごった返したエントランスは、140センチを超える積雪に埋もれていた。

 近隣の商店主が嘆息する。

「一番の稼ぎ時であるスキーシーズンに“夕張リゾート”が破綻してしまった。夕張観光の中心地がなくなって、市全体に与えるダメージも甚大ですよ」

 先のホテルやスキー場などを運営していた夕張リゾートは昨年末に休業を発表。今年2月1日に札幌地裁で破産手続きが開始された。いま、このリゾート施設を巡り、鈴木道知事の名が取り沙汰されているのだ。

 炭鉱の町として栄えた夕張市は2007年に事実上の“財政破綻”に陥った。その翌年に夕張市に派遣されたのが東京都職員だった鈴木氏。まもなく都職員を退職し、11年には市長選で初当選を果たす。市政関係者が打ち明けるには、

「鈴木さんが市長になってからも財政難は続き、学校や公共施設の統廃合も進みました。11万人を誇った人口も鈴木市長時代に8千人台まで落ち込んだ。そうしたなか、17年にホテルマウントレースイを含む四つのリゾート施設が、中国系企業・元大(げんだい)リアルエステートの子会社にたった2億円で売却されたのです」

 当時、市長だった鈴木氏と会見に臨んだ同社の中国人社長は、全従業員の雇用継続に加え、100億円規模の投資計画までぶち上げた。だが、その約束は果たされなかった。19年4月、元大グループはリゾート施設を香港系のファンドに約15億円で転売したのだ。

口約束

 ホテルの元従業員が言う。

「ファンドに転売されてからホテルの事業縮小が進み、コロナ禍も重なって従業員は4分の1に。スキーシーズンに巻き返そうと頑張ったものの、日本語も分からないオーナーが早々に廃業を決めてしまったのです」

 この問題を取材するジャーナリストの横田一氏は、

「つまり、鈴木知事は元大グループが10億円以上の転売益を稼ぐのに協力したとも言える。実は、17年当時から、元大グループが過去に長野県のスキー場を転売したことが問題視されていました。一方、中国系航空会社が10億円でリゾート施設の買収を持ち掛けたのに、市の担当者は選考委員にその事実を伝えず、元大グループありきで強引に売却話を押し進めた形跡もあります。さらに、市長だった鈴木氏は元大グループと転売禁止の契約すら交わしておらず、雇用継続や100億円の投資話についてもほぼ全てを口約束で済ませていた。それを反故にされては行政の対応としてあまりにもお粗末です」

 ホテル近くの居酒屋「鶴が亭」の店主・小山哲功氏は憤りを隠さない。

「正直、鈴木知事には腹が立ちますよ。こんな事態を招いた責任があるのに、説明も謝罪もない。そもそも、当時から“鈴木市長は元大から賄賂をもらったんじゃないか”という噂が流れるくらい不可解な売買だった。いま、夕張ではマルハニチロの工場閉鎖が決まり、シチズン子会社の工場でも希望退職者を募るなど、雇用問題も深刻です。中国系企業だけが利益を得るなんておかしいでしょう……」

 元道議の小野寺秀(まさる)氏も、

「本来は自民党をはじめとする保守派もきちんと批判すべき問題ですが、鈴木知事は菅チルドレンで、二階幹事長にも可愛がられているため、道議会で追及したのは共産党議員だけ。とはいえ、夕張再生をアピールして知事選に勝利したわけですから、鈴木知事は市民に説明を尽くすべきです」

〈ピンチをチャンスに〉をモットーとする鈴木知事。第二の故郷のピンチに頬かむりして逃げ回っては看板倒れという他ない。

週刊新潮 2021年3月11日号掲載

ワイド特集「春の嵐」より

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