事件現場清掃人は見た 自殺した「20代男性」の部屋のテーブルを見て想像した光景

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“事故物件”は5年間の告知義務

 遺体は、ベッドの上とベッド脇で発見された。

「死後3日といっても夏場でしたから、血痕と体液がベッドとカーペットの上に残っていました。もっとも、腐敗臭はほとんどありませんでした」

 2人が自殺したことで、アパートの大家は激怒したという。

「アパートで自殺があった場合、新規の契約者には、“事故物件”として5年間告知する義務があります。自殺があると、退去者が続出し、大家さんは大きな損害を被り、訴訟にまで発展することも珍しくありません。そこで、私は遺族にハウスクリーニングとクロスの張り替えを提案しました」

 遺族はその提案を受け入れた。同時に、高江洲氏は大家に掛け合ったという。

「大家さんはかなり立腹しているようで、最初は相手にしてもらえませんでした。けれども、ハウスクリーニングとクロスの張り替えを提案したら、何とか同意してくれました」

 高江洲氏は遺品を運び出し、ベッドとカーペットを撤去。ハウスクリーニングとクロスの張り替えを行った。

「作業には4日かかりました。仕事を終えてトラックに乗り込むと、ご遺族が3人揃ってやってきて、何度もお礼を言ってくれました。トラックが走り出しても、ルームミラーには深々と頭を下げる3人の姿が映っていました。ご遺族もこれでようやく一息つくことができたのだろうと考えると、少しはお役に立ててよかったという気持ちになりました」

デイリー新潮取材班

2021年3月12日掲載

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