マラソン「鈴木健吾」が日本記録 非アフリカ系で初めての2時間4分台を出せた理由は?

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 2時間4分56秒―2月28日に行われた「びわ湖毎日マラソン」で日本最高記録を塗り替えた鈴木健吾(25)のタイムである。

 過去にマラソンで2時間4分台を記録した選手は世界中で58人。鈴木は59人目の選手となった。そう考えると大したことないように思えるが、実は鈴木の前に達成した58人は全てアフリカ勢もしくはアフリカ系。鈴木は“非アフリカ”で初の4分台を達成した。

 とはいえ、鈴木と聞いてピンとくる人は少なかろう。

「実は彼、日本長距離界の秘蔵っ子。なので、陸上界では、記録更新と聞いても“鈴木なら驚かない”と言う人は少なくありません」

 と陸上記者が明かす。

 駅伝ファンなら、神奈川大学で活躍した彼のことを覚えているかもしれない。鈴木は4年連続で箱根を走った。とりわけ3年次、“花の2区”で区間賞を獲得した際は大きな注目を浴びた。

「大学4年の東京マラソンが初マラソンでしたが、その直前、経験豊富なトップレベルのマラソン選手たちと海外で合宿を行っています。それだけ期待されていたということ。卒業後は、MGC1位で五輪に内定した中村匠吾(28)と同じ富士通に所属しています」

 それでも、鈴木の走りは業界を驚かせた。好記録が出にくいとされた「びわ湖毎日」で記録を出したからだ。強風が吹く上、同時期に開催される高速コースの東京マラソンに有力選手が流出するため、「びわ湖」は存在感を失い、今年が最後のレースとなることが決まっていた。ところが、

「当日はほぼ無風でした」

 さらに“コロナ”がびわ湖を後押しした。同時期に開催していた別府大分マラソンと東京マラソンが延期になり、有力選手が集結したのだ。加えて、

「アフリカ勢が参加していないので、ペースメーカーは日本記録に照準があてられました」

 そしてなにより、

「世界選手権が延期となったため、選考会の要素がなくなり、選手たちはノープレッシャーで走ることができました」

週刊新潮 2021年3月11日号掲載

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