ひろゆき氏「古文・漢文オワコン」論に賛否 識者が語る“古典を学ぶべき高校生”は?

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東大は古典を出題?

 大学受験に詳しい記者は「受験生の志望大学によっては違ってきます。基本的にはセンター試験より難しい国立大学の二次試験や、私立大学文系の一般入試でも出題が確認できます」と指摘する。

「東京大学の二次試験は文系だけでなく、理系でも古文と漢文が大問として出題されます。一方、京都大学の文系は大問なら古文だけですが、設問に漢文分野が出題されることがあります。一橋大学は『近代文語文』の出題が目立ちます。明治以降に発表された漢文訓読体で書かれた文章です。古文と漢文を高校で学ばないと、読解には苦労するでしょう」

 つまり旧帝大クラスの難関国立大学を目指す受験生なら、二次試験の対策としても古文や漢文を勉強している者は少なくないのだ。

 だが、それより偏差値の低い地方の国立大学となると、法学部などでは二次試験の国語は現代文だけというところも散見される。その傾向が鮮明なのが私立大学の文系だ。

「早稲田大学なら文学部はもちろん、法学部や商学部でも漢文の大問があります。政治経済学部は古文の中に漢文の出題が組み込まれることがあります。一方、ひろゆきさんの母校である中央大学は文系の場合、古文は出題されますが、漢文は文学部を除いて出題されません。特に社会科学系の学部は偏差値が下がるにつれ、まず漢文が一般入試から消え、もっと下がると古文もなくなるという傾向があります」(同・記者)

漢文はオワコン?

 大学入試全体を考えれば、古文と漢文を国立大学の二次試験や、私立大学の一般入試対策として勉強している受験生は一握りと言っていい。ここまでのレベルになると、ひろゆき氏の指摘にも同意できる。

「“大学全入時代”や“Fラン大学”といった言葉もあります。下位層の大学になると、そもそも入試で選別が行われているのかという問題もあります。また、中堅以上の私立大学でも、最近は推薦枠を増やしています。古文や漢文の設問どころか、大学入試を経験していない大学生も珍しくありません」(同・記者)

 入試の現場では、少なくとも漢文の“オワコン化”は着々と進んでいるということになる。こうした状況を「賛成だ」、「仕方ない」と理解する層と、「嘆かわしい」、「入試では必要なくとも、教養としては必要」などと異議を唱える層がTwitterなどのSNSに投稿し、賛否両論の論戦になっているというわけだ。

 前出のコラムには《社会に出てから義務教育で習う古文や漢文を使っている人は、0.1%もいないと思います》との記述もある。

 ならば、社会人にとって、中学から大学入試までの間に古典を学んでも、全く役に立たないのだろうか。“オワコン化”が進む漢文で考えてみよう。

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