高田馬場「ミャンマー料理屋」店主が語る“祖国のクーデター”と意外な軍への抗議方法

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 ミャンマーで連日続く国軍クーデターへの抗議デモで3月3日、治安部隊による弾圧によって1日の死者が最多の38人出たことが明らかになった。これで死亡したデモ参加者は計60人に達した(3月5日現在)。在日のミャンマー人は、母国クーデターをどう見ているのか。“リトル・ヤンゴン”と言われる東京・高田馬場にある老舗のミャンマー料理店主に聞いた。

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 2月1日未明、国軍はウィンミン大統領、アウンサンスーチー国家顧問、与党である国民民主連盟(NLD)幹部、NLD出身の地方政府トップら45人の身柄を拘束した。ウィンミン大統領とアウンサンスーチー国家顧問は首都ネピドーにある自宅にそれぞれ軟禁されている。

 軍出身のミンスエ第一副大統領が大統領代行に就任し、国軍が政権を掌握。また、ミン・アウン・フライン国軍総司令官に立法、行政、司法の三権が委譲され、事実上の国家指導者となった。

 軍事クーデターが起こったきっかけは、昨年11月の総選挙。国民民主連盟が改選議席476のうち8割以上を占める396議席を獲得し、国軍系の野党・連邦団結発展党(USDP)が大敗を喫したからだ。

 国軍とUSDPは、選挙に不正があったと抗議。さらに軍は、票の再集計や議会の開会延期を要求したが、政府側は拒否した。軍は、選挙後初の議会が2月1日から開会されることを反対していたのだ。

モヒンガー

 日本在住のミャンマー人は現在、3万人以上といるとされるが、

「2月1日から、ミャンマービールの仕入れをやめました。というのは、ミャンマービールを製造しているのは、国軍系の企業だからです。クーデターへの抗議です」

 と語るのは、高田馬場にあるミャンマー料理店「ノング・インレイ」の店主、サイ・ミンゾウさんだ。

「高田馬場には、ミャンマー料理店が10軒以上あり、『リトル・ヤンゴン』と言われています」

 話は少し逸れるが、「ノング・インレイ」ではミャンマーの少数民族シャン族の料理が食べられる。食材は、納豆や高菜漬けなど発酵食品が多く、和食と共通点がある。ミャンマー料理は、主食は米で、もち米やインディカ米も食される。副菜は香辛料を入れた煮込み料理が中心で、カレーの種類も多い。もっとも、インドやタイのように香辛料は多く使わないという。

 お客は当初、ミャンマー人だけだったが、2017年に話題になった『孤独のグルメ』に登場してから、日本人客も増えたという。

 ドラマで松重豊演じる井之頭五郎が食べた「シャン風高菜漬炒め」は、意外と味は濃く、モヒンガーとの相性もピッタリだ。

「ミャンマーで最も人気の料理は、モヒンガーです。ナマズで出汁を取ったスープにライスヌードルを入れたもので、国民食になっています」

 ライスヌードルのほか、レモングラスや唐辛子、生姜、ニンニクで香をつけ、ゆで卵やさつま揚げが入っている。スープは濃厚だが、そんなに辛くはない。麺はさっぱりしている。

 ミンゾウさんは2001年に来日して、彼の親戚が1999年にオープンした「ノング・インレイ」に勤務。2013年に経営を引き継いだ。

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