役立たずのCOCOAに続き…73億円で開発「オリパラアプリ」に早くも囁かれる不安
答えが曖昧
新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」の不具合が取り沙汰されたばかりだが、今度は政府が開発を急ぐアプリが物議を醸している。東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京五輪)で来日する観客や選手・関係者向けの健康を管理する「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)」だ。
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1月28日の参議院予算委員会で、国民民主党の伊藤孝恵議員は、国民になかなかインストールしてもらえないCOCOAを逆手に、
「COCOAは難しくて、オリパラアプリはいける(インストールしてもらえる)と?」
と迫った。これに対し、平井卓也・デジタル改革担当相は、
「(ビザ取得の際にインストールを)義務付けるわけで、国内の国民の移動を管理するというものとは全然趣旨が違います」
と答えたが、非常に歯切れが悪かった。
首相官邸の幹部は語る。
「実は、オリパラアプリの開発は和泉洋人首相補佐官がIT総合戦略室(内閣官房情報通信技術総合戦略室)のメンバーを集め、独断に近い形で開発を進めているのです。平井大臣はまったく蚊帳の外でした。伊藤議員から質問され、平井大臣が答えた後、入国管理担当の上川陽子法務相、田村憲久厚生労働相とたらい回し状態になり、皆さん答えが曖昧だったのはそのためです」
あまりに高い
衆議院では2月17日、立憲民主党の尾辻かな子議員が質問に立った。パネルを示して、73億1500万円もの予算が付いていることを指摘し、「(オリンピックが)無観客でおこなうことになった場合は無駄遣いになるのではないか」と疑問を呈した。
驚いたことに、このとき、尾辻議員が菅義偉首相に金額を知っていたのか問うと、こう答えたのだ。
「全体の正確な金額は承知していませんでした」
全国紙の政治部記者は、
「不具合ばかりが指摘されている全国民対象のCOCOAの開発費が3億9000万円だったのに対して、オリパラアプリはその19倍ほどの73億円です。契約では海外からの観客80万人と関係者40万人の合計120万人が使うことになっていますが、あまりにも高いのではないか、と記者の間でも驚きの声が上がりました。外務省や入国管理庁、税関、厚労省などの様々なシステムと連携し、入国から出国まで外国人を追跡して健康管理情報を把握できるという説明でした。壮大な構想ですが……」
複雑な仕組みのため、多少のカネがかかっても致し方ないと言うことなのだろう。実際、平井大臣は記者会見で金額を問われ、こう話していた。
「高いか安いかは簡単に申し上げられないが、必要な経費を合計した金額だ。サポートセンターの構築などの多言語対応、GDPR(EU一般データ保護規則)への対応に費用がかかるため、COCOAとは比較できない」
尾辻議員は質問の際、アプリを使って健康状態を管理することで、入国時のワクチン接種や入国後の14日間の隔離を免除することを皮肉り、「神アプリ」と呼んだが、システムに詳しい専門家の間でも、
「霞が関にバラバラに存在する各省庁のシステムにそれぞれ連携するなんて、本当に完成したら、まさしく『神アプリ』だ」
と揶揄する声も出ている。
もっとも、各省庁のシステムといっても厚労省が作っているワクチン配布のためのシステム「V-SYS(ブイシス)」はいまだに稼働していないうえ、医療機関向けの「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS、ハーシス)」も情報がきちんと把握できていないと言われている。そんなシステムと連携させたとしても、本当に海外から来た人たちの健康管理ができるのだろうか。
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